集団塾・個別指導塾・家庭教師…。
何がどう違う?どれが子どもに向いている?

塾の選び方のポイントを解説。失敗しないために事前にやっておくべきこととは?

塾の種類はたくさんあるけれど、いったい何がどう違う?果たしてどれが自分の子どもに向いている?

個別指導塾の教室長のほか、集団塾やオンライン家庭教師など、さまざまなタイプの指導形態を経験し、多くの子どもたちと保護者さまに接してきた学習指導のプロが、失敗しない塾選びのポイントを教えます。

この記事のポイント

  1. 塾選びのその前に、やっておくべきこと
  2. 塾選びは、ゴールに向かって進むための一つの手段
  3. 集団塾・個別指導塾・家庭教師の特長と注意点
  4. 「塾選び」のポイント
  5. 塾を上手に活用するために

塾選びのその前に、やっておくべきこと

「現在」に捕らわれ過ぎずに、「ゴール」をしっかりイメージして

「うちの子どもは、どんなタイプの塾に通わせればいいのですか?」。

そろそろ塾に通わせなければ…と思い始めたお父さん・お母さんなら、塾の何がどう違うのか?子どもにはどんな塾があっているのか?は、とても気になるところです。

しかし、塾を選ぶその前に「何のために塾に通わせたいのか?」という「目的」を明確にしておくことが大切です。ここでいう「目的」とは「ゴール」を指します。たとえば、「○○高校合格、○○大学○学部合格」といった「たどり着きたい未来」です。

学習相談の場でよくお聞きする「目的」には、「学習習慣をつくりたい」「定期テスト対策」、「苦手科目や単元の強化」などがあります。これに加えて「塾に行くことで叶えたい将来のゴール」を定めると、自ずといつからどんな塾に通わせるのが良いのかが見えてきます。

ゴールが決まれば、「学習計画」が作れる

わかりやすく大学受験を例に、目標達成までのプロセスを4つのステップに分けてお話します。

【Step1】

たとえば、難関国立大学と中堅私立大学を受験する場合では、受験科目数も違えば、難易度も変わるため、「必要な学習総量」が変わります。仮に東大・京大レベルともなれば相当な学習量が必要になります。

【Step2】

その必要な学習総量と、現在の学力を比較すれば、大小の差はあれ、必ずギャップが生まれます。

【Step3】

そのギャップを埋めるためには、「学習計画」を立てなければなりません。そこで必要なのは、いま足りない力は何なのか?を知ること。かけられる時間やお金を把握すること。どんな塾に通って何をどう勉強すればよいのか?を検討すること。そして何より大切なのは、「自分でどれだけ勉強できるか・するか?」を認識することです。

【Step4】

この学習計画に基づいて実行し、挫折しそうならモチベーションを高める施策も講じながら、自分の学力の面積を大きくして、ゴールとのギャップを埋めていくこととなります。

この「学習計画」を作るのは、塾の教室長の役割です。「塾に行くことで叶えたい将来のゴール」に向かって、そのギャップを測って学習計画を作ります。これは、中学・高校・大学受験という遠い目標であっても、定期テスト対策という近い目標であっても同じです。

※「学習計画」の考え方
やるべきことの洗い出し

基礎の鍛え直し、覚えるべきを覚える、苦手科目や単元の克服、実践演習、模擬など

ゴールまでに残された時間の把握

大学受験まで残り2年、期末テストまであと2ヵ月、部活は3年生の夏休みまで続けるなど

かけられるお金を考える
適したタイプの塾を選定or組み合わせる

集団塾、個別指導塾、家庭教師など

学校・塾での勉強を念頭に、自宅ですべき学習とその方法を考える

学校の授業の予習・復習には、毎日必ず2時間は自宅学習時間を確保、塾で解けなかった問題は必ず反復学習など

塾選びは、ゴールに向かって進むための一つの手段

塾に入っただけでは成績は伸びない

こうして、「受験対策」ひとつをみてもわかるように、塾に通わせることが受験対策のすべてではありません。「塾に入ったら、きっと成績が伸びるだろう。」ついつい、そう思いがちです。

たしかに塾に通うことは勉強をするきっかけになりますが、塾に通うだけ、で成績が伸びることはありません。塾と塾以外の要因が相乗効果で良い影響を及ぼすことではじめて、望む結果が得られます。

合格に必要な「学ばねばならない総量」は変わらない

また、中学受験では「子どもの習い事を辞めさせるべきか」という相談もよく受けます。どう考えてもこのままでは勉強時間が足りないと判断されるなら、習い事の時間を削るか、習い事をしたうえに勉強時間を積み増すことができるかを検討しなければなりません。

どんなに効率よく学習したとしても、合格に必要な「学ばねばならない総量」は変わらないので、その総量を確保するために、何かを「捨てる勇気」や、「残す覚悟」、「選択肢を広げる心の余裕」を持つことも必要です。

しかし、ギャップが小さく余裕があるお子さまなら、むしろ習い事を続けることが勉強の励みになることもありますので、受験か習い事かの二者択一ではなく、一人ひとりの状況に合わせて考えることが大切です。

集団塾・個別指導塾・家庭教師の特長と注意点

学習計画を作る際によくいただく質問が、冒頭に述べた「うちの子どもは、どんなタイプの塾に通わせればいいのですか?」です。

以下、集団塾と個別指導塾・家庭教師の特長と注意点をまとめています。

集団塾

良い点

  • 周囲の生徒と切磋琢磨することで、競争意識が芽生えやる気が出る。
  • 複数の生徒に同じ授業を行うので、費用が比較的安い。
  • カリキュラムが整っているので、受験に向けた体系的な学習ができる。

注意点

  • 授業のスピードが一定なので、理解が追いつかないと置いていかれる。
  • 生徒数が多く、気軽に質問できないことも。
  • 一人ひとりの学力に合わせられず、得意・不得意の差に対応できない。

集団塾に向いているお子さまの特長

  1. 競争がモチベーションになる
    友だちやライバルがいることで「負けたくない!」という気持ちが勉強の原動力になります。
  2. ある程度の学力や基礎が身についている
    集団の授業についていける理解力があると、効率よく実力を伸ばせます。
  3. 計画的に進めるのが得意
    カリキュラム通りに進むので、スケジュール管理ができるお子さまに向いています。

[関連ページ]オンライン集団授業(オンラインゼミ)

個別指導

良い点

  • わからない所はゆっくり、得意な所はスピーディに自分のペースで進められる。
  • 講師との距離が近いため、質問しやすく疑問をすぐ解消できる。
  • 学校の進度やお子さまの目標に合わせてカリキュラムを柔軟に組める。

注意点

  • 生徒1人あたりの指導時間が多いため、集団塾より費用が高くなる傾向がある。
  • 講師の質に差が出やすく、塾によって当たり外れがある。
  • 競争意識が生まれにくく、モチベーションの維持が難しい場合もある。

個別指導塾に向いているお子さまの特長

  1. わからない所をすぐに教えてほしい
    積極的に質問したいお子さまにはベストな環境です。
  2. 理解にムラがある・得意不得意がハッキリしている
    教科によって学習の出発点や進度を変えられるので、弱点補強に有効です。
  3. 自分のペースで進めたい
    集団だと置いていかれる、逆に物足りないと感じるお子さまにもフィットします。

[関連ページ]個別指導塾の料金は?

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家庭教師

良い点

  • 完全マンツーマン指導で、細かいところまで対応してもらえる。
  • 自宅で指導を受けられるので移動時間がなく、時間効率が良い。
  • 講師と学習状況をすぐに共有できて、家庭全体でサポートしやすい。

注意点

  • 講師の時間単価が高く、他の形態より費用が最も高くなることが多い。
  • 教え方や相性の合う講師が限られ、見つかりにくい場合もある。
  • 学習環境が家庭任せになり、テレビやスマホなど、集中を妨げるものが多い場合もある。

家庭教師に向いているお子さまの特長

  1. 自分ひとりでは集中しにくい
    先生が目の前にいることで、自然と学習に集中できます。
  2. 静かな環境の方が勉強に集中できる
    教室のざわつきが苦手なお子さまにはぴったりです。
  3. 先生との会話で理解が深まる
    講師との関係が学習に大きく影響するので、対話力や積極性があると◎。

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「塾選び」のポイント

「塾選び」の重要な要素の一つは「教室長」

もうすでにお気づきの方も多いと思いますが、「塾選び」とは、「塾の教室長選び」でもあります。どれだけ親身になってくれるのか? ゴールに必要な学びの総量を把握し、いま時点の生徒の実力を客観的に分析でき、期間、費用、子どもの性格や部活や習い事などの事情も考慮しながら、最適な学習計画を作ってくれるかどうか?

塾は、スペックが決まった製品やマニュアルに従ったファストフードのようなサービスではありません。必ず人が介在し、個別の事情に応じた対応が必要になります。ですから、「お互いの信頼関係」が欠かせません。

学習相談では、1時間程度はお話します。そこで教室長が話す説明に共感・納得できるか?「この教室長なら子どもを預けてもいい」と信頼できそうか?1時間程度話せば、相性も見えてきます。学習相談や体験授業の場では、そうした観点で教室長をチェックすることも大切です。

学習法や学習ツールの充実度もチェック

塾で選べる学習手段が豊富にあることも重要な要素です。受講スタイルや講座の種類が多ければ、より効果的に学習計画を組むことができるからです。

例えば、英語や数学の基礎は個別型でじっくり学んで、理科や社会は集団型でテンポ良く復習するなど、組み合わせることで学習効率が上がるだけでなく、費用を抑えることにもつながります。

学習相談は親子一緒に、直近の定期テストや模試の結果を忘れずに

学習相談に出掛ける際に注意すべき点が3つあります。

一つめは、

できるだけ親子一緒に参加しましょう。小・中学生に限らず、高校生でもその方が良いでしょう。なぜなら、親と子どもでそれぞれが思い描いているゴールが違うことがあるからです。親が思い描くゴールを押し付けることになると、子どもは反発を感じてしまいます。

二つめは、

必ず直近の定期テストや模試の結果を持っていきましょう。現時点の実力を知るためには重要な資料です。その結果を紐解くことで、苦手科目や単元、つまずいている箇所、どこまで立ち返った学習が必要なのか?といった分析が可能になります。

三つめは、

学習相談には、2つから3つ程度の塾を回ってみましょう。1つでは比べられません。かといって行き過ぎると迷ってしまいます。どの教室長の説明が一番わかりやすかったのか?それぞれどんな点に納得し、違和感を覚えたのか?それらを俯瞰してみて「最も信頼できそうな塾」を選んでください。

塾を上手に活用するために

塾の役割と親の役割を切り分けて考える

最後に、塾を上手に活用するためのアドバイスをひとつ。

保護者さまの大切な役割は、学習に関する意見やアドバイスではなく、お子さまの「話を聞いてあげること」です。

【塾と保護者さまの役割分担】

そして、教室長と上手にタッグを組みましょう。具体的には、まず情報共有の徹底です。そして、お子さまに何かを伝えたい時には、教室長をスピーカー代わりに利用してください。

お子さまの様子は、こまめに教室長に連絡しておきましょう。そして、何か伝えたいことがあるなら、まずは教室長に相談してみてください。できる教室長なら、言葉そのままに伝えることなどせず、何をどう話すべきか、上手に咀嚼・消化して伝えてくれるはずです。

実はこのタッグは、教室長にとっても、よい環境づくりに欠かせないものです。お子さまには、教室長は自分のことをきちんと見てくれているという信頼感が生まれます。

信頼感が生まれれば、実はそれは親が子どもに伝えたかったことであったとしても、素直に耳を傾けてくれます。

特に、やる気を失っている時やスランプの時期には、親が直接口を出すと、喧嘩になりかねません。親には言いにくいことでも、教室長になら話せる。その伴走は大きな力になるはずです。

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この記事を書いた人

(株)ワオ・コーポレーション
教育本部 個別指導Axis部門
営業推進リーダー
池田 吉勝