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探究活動は総合型選抜にどう活きる?テーマの探し方から提出書類への落とし込みまで解説

公開日:  | 更新日:

2022年度の新学習指導要領の実施により、いま高校では「総合的な探究の時間」が設けられています。同時にこの探究活動は、「総合型選抜」方式の大学受験にも活用されるようになっています。 今回は、ユニークな探究活動を行うワオ高等学校の副校長に、探究活動の正しい仕方と、大学受験への正しい活かし方を解説してもらいました。

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総合型選抜と探究活動の関係|評価されるポイントとは?

かつての大学受験は、入学試験でどれだけ得点できるかを競う「一般選抜(一般入試)」が中心でした。しかし現在は、私立大学をはじめ、国公立大学でも「総合型選抜」で合格者を選ぶ大学が増えています。

もちろん今でも、教科学習は重要です。しかし、大学が総合型選抜枠を増やしているのは、「現時点の学力や知識量」だけを評価対象とするのではなく、「学びに向かう姿勢や意欲」を測ろうとしているからです。

簡単にいうと、総合型選抜では「大学入学後は、何をテーマに取り組んで、どのように自分で学びを設計していくのか?」が問われています。自分で課題を見つけ、自分で学びを組み立てていける人なのか。そのポテンシャルを測ろうとしているのです。

[関連ページ]大学推薦入試(学校推薦型選抜/総合型選抜)とは?複雑になった仕組みと種類・特徴を解説!

「総合型選抜のために探究する」のではなく、「探究が総合型選抜に活きる」

探究活動は、自分で問いを立て、調べ、考え、行動します。高校までにこの力を鍛え、備えている学生ならば、大学入学後の研究や学問に向き合う姿勢にも期待が持てます。つまり、高校までの探究活動と総合型選抜は、非常に相性がよいのです。

となれば、総合型選抜での受験を考えるなら、探究活動で勝負した方がよいかも?と考える人もいるかもしれません。しかし、ここには勘違いしてはいけない大切な順序があります。

「総合型選抜で受かりたいから探究する」のではなく、「自分なりに探究してきたことが、結果として総合型選抜で語れる材料になる」のです。

この順序を間違えないことが、探究活動を大学入試につなげる最初のポイントです。

<参考*総合型選抜で探究活動を評価対象としている大学(一部)>

◆日本大学 生産工学部 総合型選抜 探究型

・提出書類(志望理由書、探究活動報告書など)を提出
・面接では、探究活動に関する口頭試問を実施(評価基準も公開)

[参考]日本大学 生産工学部 総合型選抜 特設サイト

◆奈良女子大学 総合型選抜 探究力入試「Q」

・提出書類(活動報告書、探究報告書、研究レポート、学習研究計画書など)を提出

[参考]奈良女子大学 総合型選抜 探究力入試「Q」

探究活動とは?従来の「調べ学習」との決定的な違い 

2022年度の新学習指導要領の実施に伴い、高校では「総合的な探究の時間」が設けられています。しかし、親世代の方は、そもそも「探究とは?」と思われる方も少なくないはずです。その昔の「調べ学習」との違いは何でしょう?

一番大きな違いは、「答えを探す」のか、「問いをつくる」のかです。つまり探究とは、一つの科目というよりも、「自分は何を知りたいのか」を起点に、自分で学びをつくっていく学習なのです。

◆「探究学習」と昔の「調べ学習」は、ココが違う!

 

探究学習

調べ学習

学びの狙い

問いを立てる答えを探す

学びのフィールド

現場・インタビュー本やネット中心

学びのプロセス

仮説→検証→改善調べて終わり

学びの成果・評価

自分で振り返る評価者(先生など)が評価する

例)
学習テーマ:食品ロス

<調べ学習>
▶ネットや本で食品ロスの量、原因、対策などを調べてレポートにまとめる

<探究学習>
▶問いを立てる
Q.自分の家では、なぜこんなに食品を捨てているんだろう?
Q.近所のコンビニでは、売れ残った弁当はどうしているのだろう?

▶フィールドワークを行う
家庭で捨てている食品を記録してみる
コンビニで話を聞いたり、アンケートを取ってみたりする

▶予想と違えば、さらに「なぜだろう?」と考える

探究テーマの探し方・選び方

では、探究活動をするなら、どんなテーマを選べばいいのでしょうか。
環境問題や地域活性化、生成AI活用法、少子高齢化など、ついつい「イマはやりで話題性のあるテーマ」で「総合型選抜でも活かせそうで評価されそうなテーマ」を選びたくなりがちです。

しかし、それよりもっと重要なのは、「オーナーシップ」と「自分ごと化」です。本人が「これは自分の問題だ」「もっと知りたい」と思えるかどうか。それを見つけるためには、机の前で「ありがちな社会課題テーマ一覧」を眺めるよりも、いろいろな人に会い、話を聞き、講演会・セミナーなどにも参加し、大学の研究にも触れてみる。外へ出て歩いてみることが大切です。

最初から強い興味がなくても問題ない理由

最初から「これこそ自分の生涯のテーマだ!」と思えるテーマなどありませんし、それでまったくかまいません。「ちょっとおもしろそう」くらいでいいのです。

学校でSDGsについて習って、「コレってどういうこと?」と感じたものが一つでもあれば、それを調べてみる。その問題に詳しい人に会ってみる。行動するとまた新しい疑問が生まれます。今まで気づいてもいなかった、身の回りのできごとに気づき始めるようになる。「へえ、そうだったのか!」と驚き、「ちょっとおもしろい」と感じ始める。その小さな心の動きと拡がりの連続こそが、「問い」を立てる種になります。

また、いろいろなものに触れて自分の中にたくさんの「アンテナ=興味の発火点」をつくっておくことも大切です。

たとえば、今はさほど乗り気になれない学校行事や特別活動でも、大学生になってから「あのとき聞いた話はこういうことだったのか」とつながることもあります。自分でアンテナを立てられないなら、まずは与えられた機会に参加してみる。それも立派なスタートです。

探究活動をする際のポイント

実際に探究活動を行う際のポイントを、列挙しておきます。

自分自身の経験や疑問から「問い」を立てる

繰り返しますが、何よりもテーマが「自分ごと化」されていることが重要です。自分の生活や経験、違和感、驚き、疑問などから「問いを立ててみる」訓練を重ねてみてください。

ネット検索だけで終わらせずフィールドワークを行う

街頭インタビューやアンケート調査を実施したり、専門家に話を聞いてみたり、イベントに参加してみたりなど、フィールドワークが大切です。自分自身の経験を増やしていくことで、立てた問いの自分ごと化がさらに深まります。

他者との対話によって、自分の考えを深める

自分が調べたことや考えたことを、自分の中だけで終わらせずに人に説明してみましょう。人に説明することで、自分でも理解できていなかった部分が見えてきます。他者の違う視点に触れることで、自分の考えを立体的に捉え直すこともできます。

「自分の言葉」で語ることができるようにする

相手が「もっと聞きたい」とワクワクしてもらえるように意識して話しましょう。本当に興味を持ち、自分自身で経験してきたことだからこそ、自分の言葉で話すことができます。それが、「やらされている探究」と「自分から足を踏み出した探究」の違いです。これは、志望理由書、小論文、プレゼン、面接対策などにもつながります。

「失敗」と試行錯誤のプロセスを重ねる

探究活動の「成功」のカギを握っているのは、皮肉なことにも「失敗」です。
ケーススタディとして、私が実際に指導したワオ高校の卒業生の例をみてみましょう。

その生徒は、高校時代に仲間と会社をつくり、いろんなお店や企業をクライアントとして、SNS運用や高校生向けイベントの企画・運営などを行っていました。これだけ聞けば、「華々しい成功物語」と思われるでしょう。

しかし実際には、うまくいかないことだらけでした。仲間との議論が成立しない、意見が対立する。企業に企画を提案しても受け入れてもらえない。

それでも試行錯誤を続け、さまざまな大人に会い、自分と同じような立場の人とも交流する。その中で、自分が本当にやりたいことを、少しずつ見つけていきました。

探究は、予定調和の「成功」をつくる活動ではない

多くの場合、本当の探究は「予想通りにはいかなかった」「自分の考えが間違っていた」というところから始まります。

仮説と違ったなら、なぜ違ったのかを考える。インタビューがうまくいかなければ、質問の仕方を変える。企画を断られたなら、何が相手に届かなかったのかを考える。この「失敗→振り返り→改善」のサイクルこそ、教科書を読んでいるだけでは得られない学びなのです。

探究活動のゴールは「自分なりの答え」を導き出す能力の獲得

探究活動の目的は、効率よく一つの答えにたどり着くことではありません。むしろ、いろいろな世界に触れながら、「自分の興味のアンテナは何に反応するのか」を探ってみたり、「以前はこう思っていたが今は違う」と自身の変化を観察してみたりしながら、自分なりに自分の答えを出せるようになる、それが「探究活動のゴール」です。

探究成果を総合型選抜の提出書類に落とし込むコツ

【 興味・問い→行動→考察→気づき→大学での学び 】をつなぐ

これは、探究活動を総合型選抜にも活かそうとするなら、はじめに意識しておきたいことです。

  • →なぜ興味を持ったか/何を知りたいと思ったか(興味・問い)
  • →どんな行動・活動を行ったか(フィールドワーク)
  • →どんな結果を得て、それをどう捉えたか(考察)
  • →自分の中で変化したことは何か、もっと知りたくなったことは何か(気づき)
  • →それを大学でどう深めたいか/その学びをどう活かしたいか(大学の学びと未来)

を、一度つなげて組み立ててみてください。

思考プロセスを正当に評価する

自己PRや小論文で伝えるべきことは、単に当初の想定・シミュレーションが「つつがなく終了した成功談」ではありません。探究のプロセスを通じて起きた「あなたの中の変化と成長」です。

検証・分析の結果、当初想定した結論と違っても、どこで間違えたのか、何が想定外だったのか、この結論に至ってあらためて見えてきたこと・気づいたことは何か、それをいま自分ではどのように評価しているのか。これらの思考プロセスを客観的に伝えられているかが大切です。

[関連ページ]志望理由書の書き方

探究活動でAIを活用する際の注意点

ここで少し気になるのが、AIです。

今や高校生にとってAIはごく身近な存在です。私は、AIを使うことは否定しません。知らないことを調べ、知識を広げる。情報を整理する。こうした目的なら、「優れたツールとしてどんどん使うべき」だと考えています。

しかし、どうやってもAIにはできないことがあります。それが「私はどう考えたのか」。課せられる小論文や面接の主語は、「AI」ではなく「私」でなければなりません。

難関私立大合格者が「自己PRにAIは使えなかった」と語る理由

ワオ高校の卒業生で、難関私立大学の総合型選抜に合格したとある生徒は、後輩たちにこんな話をしてくれました。

自分はふだんからAIを人並み以上に使っていたものの、いざ自己PRを書くときには「AIはまったく役に立たなかった」と。自分の経験や思いを、どうすれば相手に伝わる言葉にできるのか。本人はそこに2~3カ月かけて向き合ったといいます。

文章を整えるだけなら、AIの方が上手なこともあるでしょう。しかし、「なぜ私はこれが好きなのか、やりたいのか」「私は、この経験で何を感じたのか」。その答えは、自分の中にしかありません。

実体験と自身の思考がない言葉は面接で見抜かれる

しかも総合型選抜では、面接やグループディスカッションなども行われます。自分で経験していないこと・自分で考えていないことは、質問を重ねられるうちに次第に語れなくなってしまいます。

逆に、本当に自分が見て、聞いて、考え、行動したことなら、多少文章や話し方が不器用であっても、自分の言葉として書き語ることができ、相手に届きます。

AI時代の探究では、「AIに任せる部分と、自分にしかできない部分を区別すること」が重要です。

[関連ページ]AIを使った勉強法 成績が伸びる高校生の活用術を塾のプロが解説

塾に期待できるサポートとは?

最後に、塾との関係と役割についても考えてみましょう。

探究活動のテーマは本人が、学校、家庭、地域などのさまざまな場所で経験を重ねながら、自分で定めていくものなので、塾が決めることはありません。

一方で、それを実際の総合型選抜につなげる段階になると、専門的なサポートも必要になります。大学・学部によって、総合型選抜の方式はさまざまです。志望理由書の文字数も違えば、活動報告書、小論文、プレゼン、面接など、課される内容も違います。

入試には制限時間や字数、求められるテーマなどがあります。受験の専門家である塾は、生徒が持っている力を「大学側に伝わる形」へと磨きあげる技術を持っています。

個別指導塾は、自分の学びを探すパートナー+総合型選抜に対応する専門家

特に個別指導塾は、生徒の探究活動について、1対1で聞きながら「なぜそう思ったの?」「その経験で何が変わった?」「大学では、その続きをどう学びたい?」と問いを返すことができます。これは、本人が考えを整理していくための、いわば「壁打ち」です。

学校、家庭、地域でさまざまな世界に出会い、興味の芽を育てながら、自身で行動する。そして塾では、その経験や考えを第三者に話し、言葉として磨き上げる。さらに志望大学・学部の選抜方法に合わせて、志望理由書、小論文、プレゼン、面接へと仕上げていく。

塾には、そうした「本人の中にある『言語化しにくいもの』を、大学へ伝わる言葉にする」役割が期待できると思います。

「探究で何をやればいいか分からない」「自分の経験をどう文章にまとめればいいの?」そんな疑問や不安があれば、まずは個別指導Axisでお話してみませんか? 個別指導Axisでは先生が対話を通してあなたの考えを引き出し、志望理由書や小論文、面接対策まで丁寧にサポートします。ぜひお気軽にお問い合わせください!

<参考*ワオ高等学校の探究>

ワオ高等学校は、ネットを活用したオンラインの通信制高校です。
全日制と同じ卒業資格の取得に加えて、「哲学」「科学」「経済」の「教養」に触れられるのが、他校にはない大きな魅力。これらのテーマを題材にして、自分の意見を発し、他者の意見に耳を傾ける「対話」を重ねながら、自らの問いを深める「探究」を実践。「納得して自分で決める力」を養います。

この記事を書いた人

学校法人ワオ未来学園
ワオ高等学校 副校長 / カリキュラムデザイナー
河本 尚(かわもと たかし)

大手学習塾にて小3~高3の受験指導に長年携わり、小・中・高の受験情報に精通。2021年開校のワオ高校に設立から参画し、「探究」を軸とした革新的なカリキュラム全般をデザインしている。

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