平均点ダウンの要因は「読解量」と「配点バランス」
2026年度共通テスト「歴史総合、世界史探究」分析と対策

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2026年度の大学入学共通テストでは平均点が下がり、「やや難化」という結果になった今回の世界史。しかし、その要因は「知識の難化」ではなく、膨大な資料を読み解く「スピード」にありました。今回は、「NOKAIオンライン(オンラインゼミ)」世界史担当の川野講師による最新の分析をもとに、試験の傾向と今後の学習アドバイスを詳しく解説します。 ※本記事は、会員生を対象に実施されたオンラインセミナーの内容をダイジェストでお伝えするものです。個別指導Axisでは、日々の学習の指針となるような入試情報を、会員の皆さまに定期的にお届けしています。
この記事のポイント

入試概況
2026年度の世界史の平均点は60.88点で、2025年度の66.12点から5.24点低下しました。大問は5題、設問数は32問で問題数やマーク数に変化はありませんでしたが、ページ数が3ページ増加し、資料や文章を読み取って考える問題が大幅に増加したしたことが「やや難化」の主な要因です。
歴史総合(日本史関連)の出題
大問 1 には、昨年同様「歴史総合」の問題が含まれていましたが、世界史探究では扱わない日本史の知識が必要な問題は3問(設問 2、設問 3、設問4の 9 点分)だけでした。設問2は、長州藩がフランスから砲撃を受けた下関戦争(1863 年)が、フランスの第二帝政(1852~70 年) の期間内に起きたとの正確な年代判別が求められました。設問3も、日露戦争が 1904~05 年で、文化住宅の普及は 1920 年代以降と、それぞれの年代がわかっていると消去法で解ける問題でした。設問4が最も難しく、「列島改造」が 1970年代の田中角栄内閣が掲げたものであるという知識と、グラフ読解で正解を導き出す構成になっていました。
後半に集まった「高配点問題」
今年度は 2 点配点の問題がなくなり、3 点と 4 点の問題のみとなりました。特に配点の高い 4 点問題が試験の第 5 問に集中していたため、前半の資料読解に時間をかけすぎた受験生は、後半の高配点の問題を解く時間が足りなくなりました。
出題内容の振り返り|漫画・地図・日本史知識の融合
今回の試験では、地図、グラフ、文章資料、絵画に加え、漫画(『ベルサイユのばら』)まで登場し、複数の資料を組み合わせて迅速に解く力が試されました。
第1問 : 近現代における都市の変容【歴史総合】
(絵画資料、折れ線・円グラフ)
19 世紀パリのアパートの階層別居住実態など、世界史の通常の授業では扱わないような初見資料が出題されました。ここで時間をかけすぎずに解けた受験生が高得点を得ていました。
第2問 : 法のあり方と運用
(文章資料、地図、絵画)
唐代の「律・令・格・式」のうち、「律」が刑法という知識と、文章資料を読解し組み合わせて答える問題や、地図からアフリカ東岸の「ソマリア」を認識し、そこがイタリア領であることを問う問題が出ました。絵画は中世の三圃制と 19 世紀ミレーの「落ち穂拾い」の 2 択で会話文に 11 世紀とあり、中世の農業形態が教科書で読み込めていれば解答は容易でした。
第3問 : 歴史を伝える手段
(漫画、絵画、風刺画、棒グラフ)
漫画『ベルサイユのばら』を題材に、フランス革命の流れを整序する問題が出ました。「漫画は導入には良いが、史実と異なる部分もある」という出題者からのメッセージが込められており、女性でありながら男装する主人公の漫画を取り上げたのは、共通テストの頻出テーマである「フェミニズム」が関係していると推測されます。モンゴル系王朝のイル=ハン国で編纂された『集史』がペルシア語で書かれたことなど、言語に関する出題も共通テストでは頻出です。
第4問 : 「帝国」のあり方
(地図・資料)
版図Ⅰ(ローマ共和政期)、資料2(ローマ帝政期)、版図Ⅱ(東ローマ帝国)を判別し、並べ替える問題が出題されました。インドのムガル帝国やキューバに関する問題は、繰り返し出題されているので、過去問を解き丁寧な間違い直しをおこなっていると、解答は容易になるでしょう。
第5問 : 税制度と社会変容
(文書資料5つ)
図や絵がない一方で、膨大な文章資料を読み解く必要があり、最後に非常に高い集中力が求められる構成でした。中国の税制の内容と、その時代の地方有力階層を問う問題や、オスマン帝国の税制の内容、19世紀の欧米の貿易政策など、経済史に関連する出題も近年の共通テストでの頻出テーマとなっています。
次年度の注目ポイント|出題範囲の回帰と「フェミニズム」

2027年度以降の共通テストの注目点は、以下の3点です。
古代・中世・近世からも出題される
今年は現代史が中心でしたが、平均点を調整するために、来年度は古代から近世の範囲が増える可能性があります。毎年50点分は必ず基礎力が必要な問題が出ていますので、基礎固めを怠らないようにしましょう。
アメリカ・中国・ロシア・朝鮮史からの出題は続く
これらは、日本と関わりが深い国や地域の歴史であり、毎年必ずと言っていいほど出題されます。
フェミニズムに関する出題も続く
共通テストが好むテーマとして「フェミニズム」があり、今年はオランプ・ド・グージュ(フランス革命期の女性活動家)が登場しました。日本との共通点(参政権獲得の遅れなど)を含め、テーマ史としての対策が有効です。
得点力を高めるための3つの学習対策
共通テスト世界史で高得点を掴むための具体的な学習法を紹介します。
「教科書」を使い年号に強くなる
歴史総合(日本史分野)との比較問題にも対応できるよう、出来事の前後関係だけでなく、正確な年代を意識して覚えましょう。消去法を正しく使うためにも、年代の知識は最強の武器になります。
共通テストと同じ出題形式の「問題集」を解き、読解スピードをアップ
共通テストは時間との戦いです。高配点問題が並ぶ後半に十分な時間を残せるよう、日頃の問題演習からタイマーを使い、資料を素早く読み解く練習を積み重ねましょう。
「資料集」で地図・写真・グラフを見て思考する
地図、グラフ、絵画、さらには漫画まで、複数の資料を組み合わせて考える力が求められます。資料集を眺める際、単に暗記するのではなく「この図を見てどんな疑問を感じるのか?」を考える癖をつけてください。
[関連ページ]2026年度共通テスト「地理総合、地理探究」分析と対策
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この記事を書いた人

(株)ワオ・コーポレーション
NOKAIオンライン世界史スーパー講師
川野 真由実(かわの まゆみ)
膨大な知識を整理、歴史の因果関係をつなぎ「物語」として伝授。入試頻出ポイントを突く鋭い分析と情熱的な語り口で、受験生を志望校合格へと導く実力派。