あの日、教室でたこ焼きを焼いた理由
先日の地震で教室の本棚から本が落ちたとき、ふと10年前の熊本地震のことを思い出しました。
あの頃は、学校も休校が続き、日常が突然止まってしまいました。
電気や水道が思うように使えず、不安な毎日を過ごしていた方も多かったと思います。
もちろん、教室も授業どころではありませんでした。
そんなある日、「子どもたちと何かできないだろうか。」と考え、教室でたこ焼きパーティーを開くことにしました。
勉強会ではありません。
テスト対策でもありません。
みんなでたこ焼きを焼いて、食べて、笑って過ごす。
ただ、それだけの時間でした。
最初は少し遠慮気味だった子どもたちも、たこ焼きが焼き上がる頃には、
「熱っ!」
「先生、それ焦げてるよ!」
「次はチーズ入れよう!」
と、いつもの教室のように笑い声が響いていました。
あの笑顔を見ながら、私は改めて思ったことがあります。
子どもたちに必要なのは、勉強だけではないということです。
安心して笑える時間。
友達と何気ない会話ができる時間。
「いつもの場所」がそこにあるという安心感。
そんな時間も、子どもたちが前を向くためには、とても大切なのだと感じました。
もちろん、学習塾ですから、勉強を教えることが私たちの役目です。
成績を上げること。
志望校合格を目指すこと。
そのために全力を尽くすことは、今も昔も変わりません。
でも、それだけではないとも思っています。
子どもたちは、嬉しいことがあった日も、落ち込んだ日も、不安な日も教室へやって来ます。
だからこそ、「ここに来ると何だかホッとする。」
そんな場所でありたいと、いつも思っています。
先日の地震では、大きな被害はありませんでした。
それでも、あの日の揺れを感じた瞬間、10年前の記憶がよみがえった方も多かったのではないでしょうか。
私もその一人です。
だからこそ、あの日、教室いっぱいに響いていた子どもたちの笑い声を思い出しました。
勉強はもちろん大切です。
でも、安心して過ごせる場所があってこそ、人は前を向いて頑張ることができます。
教室は、問題を解く場所であると同時に、子どもたちが安心して笑える場所でもありたい。
あの日、教室でたこ焼きを焼いた理由は、きっとそこにあったのだと思います。
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