学力検査では、中学校で習ったことをどれだけ理解しているかが試されます。最近は、知識だけでなく「思考力・判断力・表現力」が重視され、「資料の読み取り」や「自分の考えや結果に至った理由を述べる」といった、覚えた知識を活用する問題が多くなっています。こうした入試問題の出題傾向を知っておくことで、受験勉強で必要な対策がわかります。

鹿児島県

教科別の出題傾向と対策のポイント

英語

2026年度/令和8年度

出題傾向

大問数は例年通り4問。平均点が41.8点となり難化傾向です。昨年大幅にアップした英単語数は、昨年よりも455語減りました。解答に当てられる時間が増えたにも関わらず平均点が下がっているのは、イラストや図表などを使って必要な情報を読み取る力を総合的に問われている影響が考えられます。特に大問3の英文の概要や要点を正確に把握する問題が、昨年よりも平均点が7.9点下がり難化しています。社会的な話題を扱う問題や思考力・判断力・表現力を問う問題に対し、過去問演習の実戦的なトレーニングをしっかり行いましょう。

対策のポイント

英単語数が増加傾向!

問題に出てくる英単語数は昨年よりも減少したものの、2年前の2023年よりも101語多く増加傾向にあります。大問3と4で長文が3つ出題されるのが例年のパターンです。読むだけではなく記述量も大問2の英作文など増加しています。豊富な語彙力をつけるとともに正確に速く読む練習を積んで全体の内容を捉える読解力をつけましょう。

リスニング問題への対策をしっかり!

前述の通りリスニング問題の実施時間が伸びたり、1回のみの放送に対応することが求められたりと年々リスニング問題を重視する傾向があります。「聞くこと」の理解力が問われる問題の正答率は高く、聞いたことを英文で表現する問題の正答率は低いです。英文を聞く習慣を作り、要点を書きとる練習を行いましょう。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
リスニング 正しい答えを選ぶ
絵や地図を使う
メモ・グラフ・表を完成する
日本語[英語]で答える
自分の考えを英語で書く
発音・アクセント 発音・アクセント
くぎり・強勢・抑揚
読解 英文和訳(記述)
脱文挿入
内容吟味
要旨把握
語句解釈
語句補充・選択
段落・文整序
指示語
会話文
文法・英作文 和文英訳
単語の穴埋め
語句補充・選択
語句整序
正誤問題
言い換え・書き換え
英問英答
条件英作文
自由英作文

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 4 4 4 4
小問数 32 31 31 30
リスニング 8 8 8 8
英作文 2 2 2 2

数学

2026年度/令和8年度

出題傾向

大問数は5問で例年通りでした。平均点は昨年度より4.9点低くなり、過去5年間で最も低くなりました。特に大問3~5の後半部分で、文章題や図表が多いため、設問にたどり着くまでに時間がかかるものが多いです。合否分岐を突破する上で、大問1と2を確実に得点することは必須となります。大問1と2の小問集合は確実に全問正解できるよう練習しておくとともに、様々なパターンの総合問題や複数の領域にわたる融合問題にもあたっておきましょう。データの活用は今後も大問として出題される可能性が高い。会話形式での出題パターンにも慣れておきましょう。

対策のポイント

「証明・説明・過程の記述・作図」 が5題!

鹿児島県公立入試では、大問2で作図が1題、そして証明問題、方程式や計算の求め方の過程を記述する問題が4題出題されます。確実に得点できるレベルの問題ですので、日頃から積極的により多くの類題に取り組み、得点力を養成しましょう。

「データの活用」 を要チェック!

近年注目されている「データの活用」は鹿児島県公立入試でも大問として出題され始めています。2025年はバレーボール選手の身長データを読み取る問題で、並び変え作業や計算等で答えにたどり着くまで時間がかかったと考えられます。「相対度数」と「累積相対度数」の違いは必ず押えておきましょう。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
数と式 正負の数
文字式
方程式・不等式
式の計算
連立方程式
平方根
多項式
2次方程式
関数 比例と反比例
1次関数
関数 y = ax2
図形 平面図形
空間図形
平面図形と平行線の性質
図形の合同
図形の相似
円周角と中心角
三平方の定理
データの活用 データの分布・比較
確率
標本調査

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 5 5 5 5
小問数 29 30 36 31
記述問題 図形の証明(説明) 1 1 0 1
その他の説明・証明など 0 0 1 0
立式・解法の過程の記述 3 2 3 3
作図(図形) 1 1 1 1
作図(グラフ) 0 0 0 0

国語

2026年度/令和8年度

出題傾向

大問1:漢字、同音異義語・同訓異字、総画数 大問2:論説文 大問3:古文「日本霊異記」 大問4:小説文 大問5:会話文・作文 昨年同様の5大問構成。大問1の漢字の読み書き。初めて出題された同音異義語、同訓異字は今後も出題される可能性があります。書写の草書体の特徴も押さえましょう。大問2では詩とその詩に関連した文章「詩+説明文」という目新しい構成。これも全国的に出題数が増えてきているので慣れておきましょう。

対策のポイント

文章量が多い!

問題用紙が8ページから11ページ構成に変化した2023年以降、継続して文章量が増加しています。また本文だけでなく、資料や会話文の読み取りも多く出題されるため読解スピードが必要です。課題作文に充てる時間も想定して演習しましょう。 ※論説・小説・古文の本文のみの文字数

【会話】と【資料】にもとづく「作文」 正答率54.8%!

2025年の課題作文は、生徒の会話と資料からの条件に沿って自分の意見を表現するタイプの出題でした。今回初めて出題された「聞き手がどのような役割をはたしているかを選択肢から選ぶ問題」は高い正答率でした。正答率50%台の問題は合否の分岐ゾーンであり確実に得点できるよう対策を打ちましょう。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
漢字・語句 漢字(読み・書き・筆順・画数・部首)
熟語(三字熟語・四字熟語)
語句(ことわざ・慣用句)
文法 文と文節
品詞・用法
敬語、その他
表現・情報 グラフ・図表の読み取り
話し合い
伝え方の工夫
課題作文
聞き取り問題
文学史 文学史
現代文(読解) 主題・表題
大意・要旨
情景・心情
内容吟味
文脈把握
段落・文章構成
指示語
接続語
脱文・脱語補充
古典 古文のかなづかい・古語
古文の会話・主語
古文の展開
漢文・漢詩
文章のジャンル 論説文・説明文
記録文・報告文
小説・伝記
随筆・紀行・日記
和歌(短歌)
俳句・川柳
古文
漢文・漢詩

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 5 5 5 5
小問数 26 25 26 27
記号解答 10 8 8 13
記述式解答(漢字の読み書きも含む) 16 17 18 14

理科

2026年度/令和8年度

出題傾向

例年通り大問5問構成になっています。物理、化学、生物、地学から各1問、4分野総合問題が1問出題されています。資料や問題文も多く、与えられた情報を読み取り、自分の知識を活用できているか問われていました。問題形式は作図問題や記述問題が昨年よりも増加しており、記述問題では、実験の結果を分析し、その改善点を指摘するものが見られました。基本的な実験をテーマにした出題が多いですが、会話形式の問題や資料を正確に読み取れているかを問われる出題も多く見られます。平均点は48.7点で昨年並みの難易度です。

対策のポイント

「図表の読み取り問題」に要チェック!

「図表の読み取り問題」というのは、問題文中の文章による説明が少なく、図表が示されている問題で、近年出題が増加しています。図やグラフから短時間で情報を正確に読み取ることが求められます。基本的な知識の理解と共に過去問演習で実戦力をつけましょう。

大問1の出題が多様化

大問1は複数の分野の知識を必要とする出題となっています。今年度は地学と物理の知識を使って考える問題が出題され、質問内容を正しく読み取る力が問われています。また、中3の最後に履修する自然環境に関する問題が会話形式で出題されました。重要語句は教科書の最後までチェックしておきましょう。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
物理 力のはたらき
光と音
電流
電流と磁界
力のつり合いと合成、分解
運動の規則性
仕事とエネルギー
化学 物質のすがた
水溶液
状態変化
物質の成り立ち、原子・分子
物質の化学変化
化学変化と物質の質量
水溶液とイオン、電池とイオン
化学変化と電池
生物 生物の観察と分類の仕方
生物の体の共通点と相違点
生物と細胞
植物の体のつくりと働き
動物の体のつくりと働き
生物の成長とふえ方
遺伝の規則性と遺伝子
生物の種類の多様性と進化
地学 身近な地形や地層、岩石の観察
地層の重なりと過去の様子
火山と地震
自然の恵みと火山災害・地震災害
気象観測
天気の変化
日本の気象
自然の恵みと気象災害
天体の動きと地球の自転・公転
太陽系と恒星
分野融合 エネルギーと物質(物理・化学)
自然環境の保全と科学技術の利用(化学・生物)
生物と環境(生物・地学)

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 5 5 5 5
小問数 39 38 39
記号解答 11 17 18
短文記述 5 3 5
計算問題 9 7 4
図・グラフ、モデル 3 1 4
語句記述

社会

2026年度/令和8年度

出題傾向

大問は地理1問、歴史1問、公民1問の計3問で昨年と同じでした。小問数も例年並みです。ページ数は2023年に続きP10と増えており、情報量が多く、図や資料・グラフを絡めてより複雑に問われています。 例年通り全体的に基本的な知識を問う問題が多いですが、2025年でも地理・歴史・公民各分野で正答率40%以下の難易度が高い記述問題が出題されています。複数の資料から思考力や読解力を試す問題、時事的な話題から考えさせる問題など様々な出題パターンが見られます。記述問題への入念な対策が大きなポイントとなります。

対策のポイント

記述力が問われます!

2025年では40字~70字程度の記述問題が7問出題されています。例年、資料から読み取れること・考えられることを記述させる問題が出題されているため、資料の読み取り対策と記述対策の両方が必要です。資料を読みとる問題はたくさん解いて慣れることがいちばんの近道です。いろいろな資料に繰り返し接していけば、入試本番までに必ず解けるようになります。

知識の正確さが問われる「完答問題」が出る!

近年、知識の正確さが問われる完答問題が出題されています。2025年でも二択問題を3つすべて正解しないと〇がもらえない問題が出題されており、部分的で曖昧な知識では正解にたどり着かないことが想定されます。教科書の知識を確実に定着させて総合的に活用する力を養うための対策が必要です。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
地理的分野 日本の姿
世界の姿
地形
気候
人口
産業・貿易 第一次産業(農林水産業)
第二次産業(工業)
第三次産業(商業・サービス業)
貿易
地域 アジア州
ヨーロッパ州
アフリカ州
南北アメリカ州
オセアニア州
九州地方、中国・四国地方
近畿地方、中部地方
関東地方、東北地方、北海道地方
歴史的分野 日本史 平安時代まで
鎌倉・室町時代
戦国・江戸時代
明治時代以降
世界史 古代
中世
近世
近・現代
テーマ史 政治・外交史
社会・経済史
文化史
公民的分野 政治 現代社会と私たちの生活
個人の尊重と日本国憲法
現代の民主政治、三権分立
地方自治
経済 消費生活と流通
企業と生産活動
財政、国民生活と福祉
国際 地球社会と私たち
経済と貿易
環境問題
時事問題

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 3 3 3 3
小問数 31 38 41 38
記号解答 15 13 18 16
用語記述 0 0 0 0
文章記述 8 11 12 11
作業・作図 0 0 0 1