学力検査では、中学校で習ったことをどれだけ理解しているかが試されます。最近は、知識だけでなく「思考力・判断力・表現力」が重視され、「資料の読み取り」や「自分の考えや結果に至った理由を述べる」といった、覚えた知識を活用する問題が多くなっています。こうした入試問題の出題傾向を知っておくことで、受験勉強で必要な対策がわかります。

石川県

教科別の出題傾向と対策のポイント

英語

2024年度/令和6年度

出題傾向

大問数は例年通り4問で、問題数もほぼ例年通りの出題でした。大問1のリスニングですが、石川県のリスニング問題の特徴として、およそ12~3分程度と長く、配点も30点と高く取られていること。また、読まれるスピードも自然の会話スピードに近く早いうえに、英作文型の問題も含まれていることなどがあげられます。しっかりと練習を重ねたうえでなければ高得点を取るのが難しいものとなっており、リスニングでの差がつきやすいと言えるでしょう。大問2は短めの会話文中の下線部並べ替え問題と空所を適切な英文で埋める英作文問題ですが、ここは素早く確実に得点したいところです。大問3はパンフレットの内容に関する対話文、大問4はスピーチの原稿とグラフの長文問題でした。条件に基づいた英作文の出題が多く散見され、英作文の配点は全体で28点となっていました。

対策のポイント

リスニング対策はしっかりと

リスニングは配点も高く、読まれるスピードも速いので、しっかりと対策が必要です。1日15分程度くらいで構いませんので、英語を聞いて耳を慣らしていくようにしましょう。英文の原稿を見ながら聞いたり、聞いたものを一緒に音読することも有効です。試験では、リスニングが始まる前にあらかじめイラストや設問をチェックしておき、ある程度内容を推測しておくことも重要です。

英作文は添削してもらおう

英作文で細かな減点を防ぐためには、やはり英単語の暗記や文法知識の習得は必要不可欠です。会話文や長文においても必須なので、苦手な人はまずここを強化しましょう。そのうえで、実際に書いてみたものを学校や塾の先生に添削してもらってください。よく使える表現、そのまま使える基本文などを増やしておくと便利です。

過去3年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
リスニング 正しい答えを選ぶ
絵や地図を使う
メモ・グラフ・表を完成する
日本語[英語]で答える
自分の考えを英語で書く
発音・アクセント 発音・アクセント
くぎり・強勢・抑揚
読解 英文和訳(記述)
脱文挿入
内容吟味
要旨把握
語句解釈
語句補充・選択
段落・文整序
指示語
会話文
文法・英作文 和文英訳
単語の穴埋め
語句補充・選択
語句整序
正誤問題
言い換え・書き換え
英問英答
条件英作文
自由英作文

過去3年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 4 4 4
小問数 19 19 21
リスニング 10 10 10
英作文 8 10 8

数学

2024年度/令和6年度

出題傾向

大問数は7問で、内容・形式ともにほぼ例年通りの出題形式でしたが、定番という問題は少なく、文章読解力や思考力を要求されるものも出題されていました。大問2の箱ひげ図の問題では、自分がどのように判断してその答えを選んだのかを説明する必要があり、難しく感じた生徒が多かったと考えられます。大問3は二次関数の出題が定番ですが、今年は登山を題材に一次関数からの出題でした。与えられた情報を踏まえてグラフに書き込み考えていく必要のある難易度の高い問題でした。大問4はバスケットボールを題材にした連立方程式、大問5は作図と標準的な出題でした。大問6の平面図形、大問7の空間図形はともに、(1)が簡単、(2)が標準、(3)は非常に難しい問題でした。

対策のポイント

出来る問題から確実に!

ここ数年大きな変化はなく、今年度もほぼ例年通りの出題(各分野からまんべんなく、基本問題・標準問題・応用問題がほぼ同じくらいの割合で出題される)が予想されます。試験時間に対してかなり内容が多いため、まずはできる問題から確実に押さえていくようにしましょう。図形問題を中心に、時には非常に難しい問題も含まれていますが、こうした難問は合否にはほぼ影響がないと考えてよいです。それよりも基本~標準の問題をいかに正確に早く解けるか、これを意識して取り組んでください。

題意をしっかり読み取れるように

グラフや図、表などと組み合わせて出題される文章題が非常に多くなっています。これらの問題では、まず文章内容を正しく理解し、式を立てるのに何の情報が必要になるのかを把握することが求められます。日ごろから、わかった内容を自分で図に書き込んでみる、どのような形になるかイメージしてみるといったトレーニングを積んでおくようにしておきましょう。

過去3年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
数と式 正負の数
文字式
方程式・不等式
式の計算
連立方程式
平方根
多項式
2次方程式
関数 比例と反比例
1次関数
関数 y = ax2
図形 平面図形
空間図形
平面図形と平行線の性質
図形の合同
図形の相似
円周角と中心角
三平方の定理
データの活用 データの分布・比較
確率
標本調査

過去3年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 7 7 7
小問数 18 18 18
記述問題 図形の証明(説明) 1 1 1
その他の説明・証明など 2 1 0
立式・解法の過程の記述 4 5 5
作図(図形) 1 1 1
作図(グラフ) 0 0 1

国語

2024年度/令和6年度

出題傾向

例年同様の大問5題で、大問1が漢字、大問2が文学的文章、大問3が論理的文章、大問4が古典、大問5が200字の課題作文という構成でした。漢字については毎年16点分の出題がされていますが、基本~標準レベル(漢字検定4~3級程度)の出題であることから、確実に押さえておきましょう。全体的に設問の難易度は標準的なものがほとんどですが、大問2~3において毎年複数出題されている50~80字程度の記述問題や、大問5の200字課題作文などへの対応が点数の分かれ目になりやすいです。満点ではなくとも部分点を狙っていけるように、少なくとも空欄で出してしまうことがないようにしましょう。

対策のポイント

時間配分には気を付けましょう!

本文の文字数が多いうえに、課題作文の資料の読み込みや記述問題の解答推敲もあります。漢字の問題を速やかに終わらせたとしても、大問2・大問3でそれぞれ15分程度、大問4の古典と大問5の作文でそれぞれ10分程度しか使えません。速読・速記術力を鍛えておかないと、時間内に解き終わらずに苦労することになります。キーワードにはマークをつけながら読む、時間や場面の転換、心情表現に注意しながら読むなど、日ごろから意識して取り組むようにしましょう。

記述問題の減点に注意!

記述問題や作文においては、解答内容以外の減点がないよう、ルールを守って記述することを心がけてください。「~とはどういうことか」という問題文であれば、解答も「~こと」となりますし、「~はなぜですか」であれば「~だから」となります。作文では原稿用紙の使い方や誤字にも注意が必要です。英作文にも通じますが、学校や塾の先生に添削してもらうようにしましょう。

過去3年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
漢字・語句 漢字(読み・書き・筆順・画数・部首)
熟語(三字熟語・四字熟語)
語句(ことわざ・慣用句)
文法 文と文節
品詞・用法
敬語、その他
表現・情報 グラフ・図表の読み取り
話し合い
伝え方の工夫
課題作文
聞き取り問題
文学史 文学史
現代文(読解) 主題・表題
大意・要旨
情景・心情
内容吟味
文脈把握
段落・文章構成
指示語
接続語
脱文・脱語補充
古典 古文のかなづかい・古語
古文の会話・主語
古文の展開
漢文・漢詩
文章のジャンル 論説文・説明文
記録文・報告文
小説・伝記
随筆・紀行・日記
和歌(短歌)
俳句・川柳
古文
漢文・漢詩

過去3年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 5 5 5
小問数 21 21 22
記号解答 6 7 9
記述式解答(漢字の読み書きも含む) 23 22 23

理科

2024年度/令和6年度

出題傾向

大問数は例年同様に6問で、大問1が小問集合、大問2~5が物理・化学・生物・地学の各領域からの出題、大問6が複数領域にわたる融合問題という出題でした。基本的に各領域からまんべんなく出題されており、偏りはありません。この問題構成は長く変わっておらず、今後も続くと思われます。難易度については標準レベルの問題が多く、難易度の高い発展問題はそれほど多くありませんので、出来る問題を一つ一つ確実に押さえていくことが重要です。

対策のポイント

出題範囲は中学内容全体

各領域から偏りなくまんべんなく出題されていることから、出やすい単元に絞って勉強するというやり方はなかなか通用しません。教科書内容をしっかり見直し、まずは基本的な問題を解く。それが終わったら実力テストなどの標準問題で実力をチェックし、弱点単元の洗い出しと復習。仕上げに過去問題に挑戦する。こうした地道な取り組みが最も有効です。

「理由」を押さえましょう

理科の記述問題では、「こうなる・こうするのはなぜか」という出題が多いです。実験や観察については、細かな手順や注意点までよく確認するようにしましょう。また、自分の答案がしっかりと相手に伝わるものになっているか、実際に人に読んでもらうのもよいでしょう。

過去3年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
物理 力のはたらき
光と音
電流
電流と磁界
力のつり合いと合成、分解
運動の規則性
仕事とエネルギー
化学 物質のすがた
水溶液
状態変化
物質の成り立ち、原子・分子
物質の化学変化
化学変化と物質の質量
水溶液とイオン、電池とイオン
化学変化と電池
生物 生物の観察と分類の仕方
生物の体の共通点と相違点
生物と細胞
植物の体のつくりと働き
動物の体のつくりと働き
生物の成長とふえ方
遺伝の規則性と遺伝子
生物の種類の多様性と進化
地学 身近な地形や地層、岩石の観察
地層の重なりと過去の様子
火山と地震
自然の恵みと火山災害・地震災害
気象観測
天気の変化
日本の気象
自然の恵みと気象災害
天体の動きと地球の自転・公転
太陽系と恒星
分野融合 エネルギーと物質(物理・化学)
自然環境の保全と科学技術の利用(化学・生物)
生物と環境(生物・地学)

過去3年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 6 6 6
小問数 24 27 21
記号解答 10 15 16
短文記述 8 5 5
計算問題 6 6 9
図・グラフ、モデル 1 1 1
語句記述

社会

2024年度/令和6年度

出題傾向

大問は地理2問、歴史2問、公民2問の計6問の出題で、例年と同じでした。社会の入試では近年、記述問題が非常に多く出題されていますが、2024年度は14問(配点計51点)の出題と、100点満点の半分以上を占めていたことは特筆に値するでしょう。石川県教育委員会が発表している「出題のねらい」によると、「地図や表、史料など多様な資料を活用して考察する力を見ること」「社会的事象を多面的・多角的に考察し、適切に表現する力が身についているかを見ること」に主眼が置かれているとのことですので、記述問題が多くなる傾向は引き続き続いていくものと思われます。

対策のポイント

苦手な人が多い「資料を読みとる問題」が出る!

資料から読み取れること・考えられることを記述させる問題が多いため、これらへの対策は避けられません。資料を読みとる問題はたくさん解いて慣れることがいちばんの近道ですので、いろいろな資料に繰り返し接していくようにしましょう。解説をしっかりと読み、自分の言葉で説明しなおしてみることも有効です。

専門的な用語が多い公民

私たちの生活に密着している政治・経済について勉強する公民では、地理や歴史と比べてかなり多くの専門的用語が出てきます。これらの中には、新聞やテレビ、あるいはインターネットなどでよく目にする・耳にするものも少なくありません。需要と供給、国会・内閣、社会保障、医療福祉…漠然と聞き流すのではなく、日々の社会の動きに関心を持ち、理解を深めていきましょう。

過去3年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
地理的分野 日本の姿
世界の姿
地形
気候
人口
産業・貿易 第一次産業(農林水産業)
第二次産業(工業)
第三次産業(商業・サービス業)
貿易
地域 アジア州
ヨーロッパ州
アフリカ州
南北アメリカ州
オセアニア州
九州地方、中国・四国地方
近畿地方、中部地方
関東地方、東北地方、北海道地方
歴史的分野 日本史 平安時代まで
鎌倉・室町時代
戦国・江戸時代
明治時代以降
世界史 古代
中世
近世
近・現代
テーマ史 政治・外交史
社会・経済史
文化史
公民的分野 政治 現代社会と私たちの生活
個人の尊重と日本国憲法
現代の民主政治、三権分立
地方自治
経済 消費生活と流通
企業と生産活動
財政、国民生活と福祉
国際 地球社会と私たち
経済と貿易
環境問題
時事問題

過去3年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 6 6 6
小問数 32 30 32
記号解答 10 11 11
用語記述 9 11 8
文章記述 13 13 14
作業・作図 0 0 0