学力検査では、中学校で習ったことをどれだけ理解しているかが試されます。最近は、知識だけでなく「思考力・判断力・表現力」が重視され、「資料の読み取り」や「自分の考えや結果に至った理由を述べる」といった、覚えた知識を活用する問題が多くなっています。こうした入試問題の出題傾向を知っておくことで、受験勉強で必要な対策がわかります。

宮城県

教科別の出題傾向と対策のポイント

英語

2024年度/令和6年度

出題傾向

第一問はリスニング。第二問は文法・語法問題と令和6年度入試から新しく資料読解問題が追加されました。第三問、第四問は長文読解、第五問は英作文で構成されています。令和6年度の平均点は50.4点であり、昨年度の57.1点、一昨年度の54.7点と比べて、ここ3年では最も難易度が高くなりました。英語の質問に英語で答える「英問英答問題」が多いのも、宮城県の特徴です。「条件英作文」も毎年出題されており、「文法的に正しい英文を書く力」が求められています。

対策のポイント

基本単語や文法の知識を確実に長文・英作文で差をつける

早い段階で基本的な単語や文法の知識を習得し、配点が高く差がつきやすい長文読解や英作文の対策に十分な時間を割くことが重要です。教科書内容の学習とあわせて、実戦的な問題演習を重ねることで、入試で問われる「読む」「聞く」「書く」の三技能をまんべんなく鍛えておきたいところです。

リスニングも日頃から練習を積んでおこう

第一問は、例年、リスニング問題。令和6年度は記号選択問題が7題、対話に沿う英文を記述する英問英答問題が1題出題。一通りの文法を学習し終えたら、公立高校入試などのリスニング問題を用いて様々なパターンの練習をするとよいです。英文原稿を活用しながら何度も英文を聞き、音声を真似して抑揚をつけての音読も効果的です。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
リスニング 正しい答えを選ぶ
絵や地図を使う
メモ・グラフ・表を完成する
日本語[英語]で答える
自分の考えを英語で書く
発音・アクセント 発音・アクセント
くぎり・強勢・抑揚
読解 英文和訳(記述)
脱文挿入
内容吟味
要旨把握
語句解釈
語句補充・選択
段落・文整序
指示語
会話文
文法・英作文 和文英訳
単語の穴埋め
語句補充・選択
語句整序
正誤問題
言い換え・書き換え
英問英答
条件英作文
自由英作文

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 5 5 5
小問数 30 30 30
リスニング 8 8 8
英作文 2 2 2

数学

2024年度/令和6年度

出題傾向

令和6年度は平均点が49.9点で昨年度と比べると4.3点上がり点数が取り易くなりました。大問数は4題で小問数は26問の構成であり、ここ数年間ほぼ同様の形式です。問題構成や出題形式に大きな変化はありませんが、教科書に掲載されている例題や問い、基本の問題難度からの出題が63点分、深い学びなどが必要となる応用問題難度の出題が25点分、教科書に類題がないような形式の発展問題の出題が12点分と、昨年度と比較して基本問題の出題が増加しました。

対策のポイント

第二問で取りこぼさないことが重要!

第二問は基本から応用まで出題されるため、意外に取りこぼすので注意が必要です。高得点のためには「取りきる問題」と「時間をかける問題」の選択が重要で、素早く解答したいところです。日常の演習時に時間設定をして、自分の得意・不得意を確認しながら学習をすすめることで、問題演習時の自分なりの時間配分の仕方をつかんでおきましょう。

差がつきやすい第三問が合否に直結!

令和6年度は資料の活用・箱ひげ図と1次関数の利用・速さの出題。基礎知識の定着と記述式の問題演習がカギ。定番の速さの問題では長い文章を読みながらミスのないよう条件を図に書き込みながら正しく把握する練習を積むのが大切です。毎年差がつく問題が出題される第三問では計算力に加え解き方を説明できる力も身に着けましょう。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
数と式 正負の数
文字式
方程式・不等式
式の計算
連立方程式
平方根
多項式
2次方程式
関数 比例と反比例
1次関数
関数 y = ax2
図形 平面図形
空間図形
平面図形と平行線の性質
図形の合同
図形の相似
円周角と中心角
三平方の定理
データの活用 データの分布・比較
確率
標本調査

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 4 4 4
小問数 25 25 26
記述問題 図形の証明(説明) 1 1 1
その他の説明・証明など
立式・解法の過程の記述
作図(図形)
作図(グラフ) 1 1

国語

2024年度/令和6年度

出題傾向

令和6年度は大問構成が全5題から全6題に変更されましたが、全体の設問数には変化がありませんでした。これまで第一問(漢字や文法、語法などが多く出題)の中に組み込まれていた対話文形式の問題が第二問として独立。設問数・配点ともに増加しました。前年は2つの文章を読み比べさせた説明的文章は通常の形式に戻りました。過去2年連続で漢文が出題されていた古典分野では古文が出題。記述問題の指定字数の総数が前年の155字程度から215字程度に増加したのが特徴。平均点は前年の70.9点から59.0点と、大きく低下し、例年の水準になりました。

対策のポイント

文学的文章は心情変化と情景描写に注意!

第三問は文学的文章の問題でした。記述問題と書き抜き問題の出題が多いですが、高得点を獲得するためには、文章の主題を意識して要点をまとめなければなりません。普段の練習から登場人物の心情変化や情景描写を見逃さずに読み取る訓練を積みましょう。また記述問題を遠ざけないで日頃から手を動かすことも大切です。

「複数資料の読み取り問題」が出る!

古文は2年ぶりの出題となりましたが、文章の長さは例年通り非常に短かったです。難しい問題ではありませんが学習が手薄になりがちな分野でありしっかり学習しておきたいところです。本文や鑑賞文を読むだけでなく注釈を利用しないと適切な解答を作れません。現代文でも古文でも、タイトルや注釈にも常に気を配って日頃から読む癖をつけましょう。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
漢字・語句 漢字(読み・書き・筆順・画数・部首)
熟語(三字熟語・四字熟語)
語句(ことわざ・慣用句)
文法 文と文節
品詞・用法
敬語、その他
表現・情報 グラフ・図表の読み取り
話し合い
伝え方の工夫
課題作文
聞き取り問題
文学史 文学史
現代文(読解) 主題・表題
大意・要旨
情景・心情
内容吟味
文脈把握
段落・文章構成
指示語
接続語
脱文・脱語補充
古典 古文のかなづかい・古語
古文の会話・主語
古文の展開
漢文・漢詩
文章のジャンル 論説文・説明文
記録文・報告文
小説・伝記
随筆・紀行・日記
和歌(短歌)
俳句・川柳
古文
漢文・漢詩

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 5 5 5
小問数 31 31 31
記号解答 11 13 11
記述式解答(漢字の読み書きも含む) 20 18 20

理科

2024年度/令和6年度

出題傾向

大問数・小問数ともに例年からの大きな変化は見られませんでした。各大問の内容は、第一問が4分野からの小問集合、第二問が地学分野、第三問が化学分野、第四問が生物分野、第五問が物理分野でした。それぞれの大問の出題形式は、実験およびその実験結果に対して考えさせるもので例年と同様。平均点は前年度58.8点から今年度56.6点となり、大きな変動はありませんでした。各分野からバランスよく、教科書に記載されている基本的な内容を中心とした出題が今後も予想されます。

対策のポイント

実験・観察・作図なども要注意!

実験や観察に関しては細部まで踏み込んだ問題も出題されることがあるので、教科書に記載されている実験、観察はよく確認しておきましょう。また、記述・計算・作図問題は合わせて10問程度出題されるので、各単元でよく出題される問題は演習を行い、慣れておくことが大切です。

地学・生物・化学・物理分野を偏りなく

宮城の傾向として分野に偏りがなく広範囲で出題されるため、早い時期から受験勉強を始めて全範囲を何回も繰り返して解きなおすことが大切。計算結果を四捨五入するなど正確に計算することも求められるため、正確な計算と一方で記述問題で使う重要なキーワードをしっかり使えるようしておくなどを心掛けましょう。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
物理 力のはたらき
光と音
電流
電流と磁界
力のつり合いと合成、分解
運動の規則性
仕事とエネルギー
化学 物質のすがた
水溶液
状態変化
物質の成り立ち、原子・分子
物質の化学変化
化学変化と物質の質量
水溶液とイオン、電池とイオン
化学変化と電池
生物 生物の観察と分類の仕方
生物の体の共通点と相違点
生物と細胞
植物の体のつくりと働き
動物の体のつくりと働き
生物の成長とふえ方
遺伝の規則性と遺伝子
生物の種類の多様性と進化
地学 身近な地形や地層、岩石の観察
地層の重なりと過去の様子
火山と地震
自然の恵みと火山災害・地震災害
気象観測
天気の変化
日本の気象
自然の恵みと気象災害
天体の動きと地球の自転・公転
太陽系と恒星
分野融合 エネルギーと物質(物理・化学)
自然環境の保全と科学技術の利用(化学・生物)
生物と環境(生物・地学)

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 5 5 5
小問数 35 35 32
記号解答 18 21 19
短文記述 4 3 3
計算問題 3 3 4
図・グラフ、モデル 2 1 1
語句記述

社会

2024年度/令和6年度

出題傾向

令和6年度入試は大問6問、小問30問の出題数は昨年同様でした。各大問の主な内容は、第一問が歴史と公民の融合問題、第二問が世界地理総合問題、第三問が歴史総合問題、第四問が公民総合問題、第五問が日本地理と歴史の融合問題、第六問が歴史と公民の融合問題で、これも昨年と同様でした。 出題形式は用語を記述する短答式問題が5問で合計15点分、記号選択の問題が20問で合計60点分、資料読解記述問題が5問で合計25点分でした。平均点は、昨年度68.0点に対し今年度は59.6点と、8.4点低下しました。

対策のポイント

資料読解記述問題ができるかが合否の分かれ目!

宮城の入試問題では5問25点分の資料読解記述問題でいかに高得点を獲得できるかが合格のカギ。基本的な知識事項をしっかり習得し、資料読解の演習を重ねて思考力を養い、正確に記述する表現力を鍛えることが必要です。また新紙幣の問題や昨年人口が世界一になったインドが取り上げらるなど時事的な話題にも目を配りましょう。

融合問題でも知識を組み合わせて確実に解答する力を!

第一問は紙幣に関する歴史と公民の融合問題。第二問は南アジアの地理と歴史の融合問題。第五問は「東北地方の自然環境と人々の暮らし」の日本地理と歴史の融合問題。第六問は「社会保障制度」に関する歴史と公民の融合問題と宮城は融合問題の出題が多いです。基礎の定着に加え早いうちから問題の解き方に慣れる練習が大切です。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
地理的分野 日本の姿
世界の姿
地形
気候
人口
産業・貿易 第一次産業(農林水産業)
第二次産業(工業)
第三次産業(商業・サービス業)
貿易
地域 アジア州
ヨーロッパ州
アフリカ州
南北アメリカ州
オセアニア州
九州地方、中国・四国地方
近畿地方、中部地方
関東地方、東北地方、北海道地方
歴史的分野 日本史 平安時代まで
鎌倉・室町時代
戦国・江戸時代
明治時代以降
世界史 古代
中世
近世
近・現代
テーマ史 政治・外交史
社会・経済史
文化史
公民的分野 政治 現代社会と私たちの生活
個人の尊重と日本国憲法
現代の民主政治、三権分立
地方自治
経済 消費生活と流通
企業と生産活動
財政、国民生活と福祉
国際 地球社会と私たち
経済と貿易
環境問題
時事問題

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 6 6 6
小問数 30 30 30
記号解答 20 20 20
用語記述 5 5 5
文章記述 5 5 5
作業・作図