学力検査では、中学校で習ったことをどれだけ理解しているかが試されます。最近は、知識だけでなく「思考力・判断力・表現力」が重視され、「資料の読み取り」や「自分の考えや結果に至った理由を述べる」といった、覚えた知識を活用する問題が多くなっています。こうした入試問題の出題傾向を知っておくことで、受験勉強で必要な対策がわかります。

奈良県

教科別の出題傾向と対策のポイント

英語

2024年度/令和6年度

出題傾向

大問構成(リスニング・資料の読み取り・会話文・長文総合)や問題数に大きな変化は見られませんでしたが、近年は、受験生の多様な英語力を総合的に評価することを目指していると言えます。リスニングは、短い英文から徐々に長い英文を聞き取らせる形式に、会話文や長文総合問題では段落ごとの要点をとらえた上で文章の流れを正しく理解できているかを試されています。また、英作文では環境問題に関する長文を読んだ上で自分の考えを20字程度の英語で適切に表現する能力を問われており、日頃から社会問題などに興味を持つことが大切です。

対策のポイント

ここ3年、平均点が上昇傾向に!

ここ3年の英語の平均点は31.4点→32.7点→33.6点と上昇傾向にあります。問題構成の変化が少ないため、過去問練習を多く積んだ受験生が有利であったと考えられます。この傾向が今後も続くとは限りませんが、過去問対策はしっかりとやった上で、さらに高度な英語の知識を身に着けることが大切です。

長文の題材になる社会問題にも関心を!

先にも述べたように、今年は環境問題に関する英文を読ませ、自分の意見を書かせる英作文も出題されました。このように、話題となる社会問題に興味関心を持っておくことで、英文が読みやすくなるので、英語の勉強とともに社会問題や時事問題などにも目を通しておく必要があります。

過去3年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
リスニング 正しい答えを選ぶ
絵や地図を使う
メモ・グラフ・表を完成する
日本語[英語]で答える
自分の考えを英語で書く
発音・アクセント 発音・アクセント
くぎり・強勢・抑揚
読解 英文和訳(記述)
脱文挿入
内容吟味
要旨把握
語句解釈
語句補充・選択
段落・文整序
指示語
会話文
文法・英作文 和文英訳
単語の穴埋め
語句補充・選択
語句整序
正誤問題
言い換え・書き換え
英問英答
条件英作文
自由英作文

過去3年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 4 4 4
小問数 13 12 15
リスニング 4 4 4
英作文 2 2 2

数学

2024年度/令和6年度

出題傾向

出題傾向の大きな変化はありません。大問は4題、小問は24~27題となっています。生徒率が10%未満の難問も含まれるので、取るべき問題を見分けて試験時間を有効に使う必要があります。大問1は計算や各単元の基本事項を中心とした独立小問なのでミスのないように全問正解を目指したいところです。大問2~4は応用問題で、ここ数年大問2は思考力問題、大問3は関数、大問4は平面図形の問題が続いています。大問2は奈良県の特徴的な問題で様々なテーマを元に身近に起こる事象を数学的な視点から見る問題で思考力が問われるため、後回しにした方がよいです。

対策のポイント

大問1の取りこぼしがないように!

大問1を取りこぼすとほかの応用問題での挽回は厳しくなるため、普段から安易なミスをせず、日々のテストでしっかり得点につなげることを意識した勉強が必要です。各単元の基本問題が中心として出題されるので、全単元の基本事項の徹底を教科書と学校の問題集を使ってやっておく必要があります。

記述式の 「図形の証明問題」 が出る!

図形問題は、平面図形からの出題が多く、相似や合同の照明が含まれているため、基本事項の習得とともに、教科書の例題を徹底的に理解し、記述できるようにしておく。その上で問題集の証明問題を数多く解き、学校や塾の先生に添削してもらうことをお勧めする。過去問演習で傾向や形式の把握ももれなくしておく必要がある。

過去3年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
数と式 正負の数
文字式
方程式・不等式
式の計算
連立方程式
平方根
多項式
2次方程式
関数 比例と反比例
1次関数
関数 y = ax2
図形 平面図形
空間図形
平面図形と平行線の性質
図形の合同
図形の相似
円周角と中心角
三平方の定理
データの活用 データの分布・比較
確率
標本調査

過去3年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 4 4 4
小問数 24 24 27
記述問題 図形の証明(説明) 2 2 2
その他の説明・証明など
立式・解法の過程の記述
作図(図形) 1 1 1
作図(グラフ)

国語

2024年度/令和6年度

出題傾向

大問1:随筆文 黒田未来雄「獲る食べる生きる」 大問2:論説文 宮永健太郎「持続可能な発展の話」 大問3:古文 紀貫之「土佐日記」 大問4:書写 大問5:作文 昨年同様の5つの大問構成。設問の難度は平易であり、量的にも多くはありません。和歌を含んだ古文や文学的文章として随筆分が出題されることが特徴です。記述問題の配点は全体の4割を占めることが多く、時数指定のない記述問題も出題されることもあります。さらに作文と書写が出題されるのも特徴です。

対策のポイント

古文は和歌を含む出題に注意! たまに漢文漢詩も。

古文単体で出題されるより、和歌と絡めた出題が多いため、教科書に掲載されている和歌には必ず目を通し、解釈ができるようにしておく必要があります。また、4年に1度の割合で漢文や漢詩も出題されるので漢文の勉強も必ずしておくようにしましょう。

作文の配点は6点以上ある。

作文は、2~3文で意見を述べたり、会話文の続きを考えたりするものと、指定された内容を二段落構成で書くものが出題されています。最近は後者が多く見られますが、どちらが出題されても対応できるように過去問などで書く練習をし、学校や塾の先生に必ず添削をしてもらうようにしましょう。

過去3年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
漢字・語句 漢字(読み・書き・筆順・画数・部首)
熟語(三字熟語・四字熟語)
語句(ことわざ・慣用句)
文法 文と文節
品詞・用法
敬語、その他
表現・情報 グラフ・図表の読み取り
話し合い
伝え方の工夫
課題作文
聞き取り問題
文学史 文学史
現代文(読解) 主題・表題
大意・要旨
情景・心情
内容吟味
文脈把握
段落・文章構成
指示語
接続語
脱文・脱語補充
古典 古文のかなづかい・古語
古文の会話・主語
古文の展開
漢文・漢詩
文章のジャンル 論説文・説明文
記録文・報告文
小説・伝記
随筆・紀行・日記
和歌(短歌)
俳句・川柳
古文
漢文・漢詩

過去3年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 5 5 5
小問数 24 24 24
記号解答 12 12 15
記述式解答(漢字の読み書きも含む) 12 12 9

理科

2024年度/令和6年度

出題傾向

出題範囲は例年通り、中1~3でも学習単元からそれぞれ大問1題は出題、かつ生物・地学・物理・化学の4分野から大問1題は出題されています。傾向としては直近で出題されていないテーマから出題されるため、過去問対策で傾向を知るとともに、昨年・一昨年に出題されていないテーマをもれなく学習しておくことは大切です。特徴的な出題としては、グラフの作図問題があげられます。例年、縦軸・横軸・単位・項目なども書く必要があるため練習は欠かせません。また、原理原則を理解した上で、その場での判断が必要な問題も出題されます。

対策のポイント

各テーマの原理原則の徹底理解

各単元の原理原則を教科書を読み込むことで習得しておくことが大切です。丸暗記に頼った勉強をしていると近年の問題の図・表やリード文からその場で考える問題に対応できません。自分の言葉で説明できるほどに理解しているか確認しておくことが重要です。

記述の練習も不可欠

記述量は昨年に比べて減ったとはいえ、約20%の配点があるため過去問を中心に他府県の公立入試問題の記述問題で自分なりの解答を出し、学校や塾の先生に必ず添削をしてもらい、アドバイスを受けることが必要です。

過去3年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
物理 力のはたらき
光と音
電流
電流と磁界
力のつり合いと合成、分解
運動の規則性
仕事とエネルギー
化学 物質のすがた
水溶液
状態変化
物質の成り立ち、原子・分子
物質の化学変化
化学変化と物質の質量
水溶液とイオン、電池とイオン
化学変化と電池
生物 生物の観察と分類の仕方
生物の体の共通点と相違点
生物と細胞
植物の体のつくりと働き
動物の体のつくりと働き
生物の成長とふえ方
遺伝の規則性と遺伝子
生物の種類の多様性と進化
地学 身近な地形や地層、岩石の観察
地層の重なりと過去の様子
火山と地震
自然の恵みと火山災害・地震災害
気象観測
天気の変化
日本の気象
自然の恵みと気象災害
天体の動きと地球の自転・公転
太陽系と恒星
分野融合 エネルギーと物質(物理・化学)
自然環境の保全と科学技術の利用(化学・生物)
生物と環境(生物・地学)

過去3年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 6 6 6
小問数 31 30 30
記号解答 16 12 13
短文記述 11 11 11
計算問題 3 5 5
図・グラフ、モデル 1 2 1
語句記述

社会

2024年度/令和6年度

出題傾向

2019年度から地理・歴史・公民の分野別問題に3分野融合問題を加えた問題構成に変わり、さらに2022年度からは歴史的分野が細分化され大問5題構成になっています。歴史的分野の出題がやや多くなっているため配点の約50%を占めています。問題としては希望選択問題や用語記述問題だけでなく、文章記述問題が複数出題されています。文章記述問題は、指定語句を用いて養母の内容等を短文で説明したり、空欄補充で文章全体を完成させたり、複数の資料を関連付けて分析させる形式など様々なパターンが見られます。

対策のポイント

平均点は30点前後で標準レベル問題

ほぼすべての問題が基本~標準レベルの問題であることが分かります。しかし、用語の丸暗記では高得点が望めないような出題形式となっているため、教科書や資料集・用語集を普段からしっかりと読み込み知識として吸収した上で使えるようにいろいろな形式でアウトプットの練習が必要です。

歴史的分野を克服して得点源に

歴史的分野の出題が増えており、出題形式も特定のテーマに基づいて、時代をまたいだ幅広い出題となっています。そのため、時代ごとの学習を終えた後は、政治・経済・社会・文化などのテーマをもとに時代ごとの違いや変化をまとめて理解する学習も必要です。

過去3年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
地理的分野 日本の姿
世界の姿
地形
気候
人口
産業・貿易 第一次産業(農林水産業)
第二次産業(工業)
第三次産業(商業・サービス業)
貿易
地域 アジア州
ヨーロッパ州
アフリカ州
南北アメリカ州
オセアニア州
九州地方、中国・四国地方
近畿地方、中部地方
関東地方、東北地方、北海道地方
歴史的分野 日本史 平安時代まで
鎌倉・室町時代
戦国・江戸時代
明治時代以降
世界史 古代
中世
近世
近・現代
テーマ史 政治・外交史
社会・経済史
文化史
公民的分野 政治 現代社会と私たちの生活
個人の尊重と日本国憲法
現代の民主政治、三権分立
地方自治
経済 消費生活と流通
企業と生産活動
財政、国民生活と福祉
国際 地球社会と私たち
経済と貿易
環境問題
時事問題

過去3年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 5 5 5
小問数 30 31 29
記号解答 13 13 15
用語記述 6 7 9
文章記述 11 11 9
作業・作図