学力検査では、中学校で習ったことをどれだけ理解しているかが試されます。最近は、知識だけでなく「思考力・判断力・表現力」が重視され、「資料の読み取り」や「自分の考えや結果に至った理由を述べる」といった、覚えた知識を活用する問題が多くなっています。こうした入試問題の出題傾向を知っておくことで、受験勉強で必要な対策がわかります。

広島県

教科別の出題傾向と対策のポイント

英語

2024年度/令和6年度

出題傾向

出題傾向は例年似ているので、過去問演習を通して解き方をおさえましょう。 【リスニング】一昨年,昨年と同じ形式で出題されています。自分の意見や考えを英文で解答する問題は,正確な文法で記述する力が求められます。 【長文読解】英問英答・適語補充・並べかえ・内容真偽など,さまざまな形式の設問で構成されています。特に英問英答は毎年出題されています。全体の内容把握が多く問われるため,まず設問を一読して本文を読むと良いでしょう。本文を読みつつ解答根拠にマーキングするなど,戦略的に解き進めましょう。

対策のポイント

要旨をとらえた長文読解トレーニングが大切です

長文メインの出題なので,定期テストに向けての教科書の学習だけでなく,日頃から長文を読み解く練習が必要です。広島県だけではなく,全国の国公立高校の入試問題を用いて,段落ごとまたは,文章全体の要旨をまとめながら,じっくり長文問題に取り組みましょう。要旨を把握するためには、単語力も必須です。

文法の理解が正答率に影響します。

広島県の特徴は,文法知識を問う出題が少ないことですが,文法力がなければ,英語を正確に読み書きできません。不安な文法単元を中心に演習しましょう。文法力が定着したら,自分の考えを英文で述べる練習が必要です。相手に伝わるよう論理的な日本語を考え,シンプルな文章を正確に書けるよう,繰り返し練習しましょう。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
リスニング 正しい答えを選ぶ
絵や地図を使う
メモ・グラフ・表を完成する
日本語[英語]で答える
自分の考えを英語で書く
発音・アクセント 発音・アクセント
くぎり・強勢・抑揚
読解 英文和訳(記述)
脱文挿入
内容吟味
要旨把握
語句解釈
語句補充・選択
段落・文整序
指示語
会話文
文法・英作文 和文英訳
単語の穴埋め
語句補充・選択
語句整序
正誤問題
言い換え・書き換え
英問英答
条件英作文
自由英作文

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 4 4 4
小問数 22 23 22
リスニング 5 5 5
英作文 1 2 1

数学

2024年度/令和6年度

出題傾向

例年,大問1・2は小問集合で,さまざまな単元の基本的な問題が出題されます。数学の平均点は約25点前後のため,大問1・2を全問正解するだけで平均点近くを取ることができます。特に大問1は配点が高く,全問正解が可能な箇所なので,各単元の基本問題の復習をし,短時間で正確に解答できるよう演習を重ねましょう。 記述式の図形の証明問題は,毎年出題されています。証明の手順を早いうちに習得しましょう。また,日常生活の題材とした方程式・関数・図形の問題が出題されるため,数学的な思考力を養っておく必要があります。

対策のポイント

箱ひげ図の問題は毎年出題。対策は必須!

大問2(3)は箱ひげ図から正しい記述を選択する問題。入試での確率の問題は,その問題のルールを理解し,樹形図や表を書いて求める必要があります。日ごろから複雑な確率の問題に挑戦しましょう。箱ひげ図は図の意味を理解することが重要です。中央値と平均値の違いや,四分位範囲などの言葉の意味を覚えましょう。

問題を解くだけでなく、語句の意味も理解しよう

大問5は,自転車を借りる時間と,そのときにかかる料金のグラフを読み取る問題でした。(1)は「関数であるといえることの説明」と,そもそも「関数」とは何かを理解していなければ書くことができない問題です。数学でも語句の意味の説明はできるようにしておきましょう。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
数と式 正負の数
文字式
方程式・不等式
式の計算
連立方程式
平方根
多項式
2次方程式
関数 比例と反比例
1次関数
関数 y = ax2
図形 平面図形
空間図形
平面図形と平行線の性質
図形の合同
図形の相似
円周角と中心角
三平方の定理
データの活用 データの分布・比較
確率
標本調査

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 6 6 6
小問数 18 19 19
記述問題 図形の証明(説明) 1 1 1
その他の説明・証明など 2 2 1
立式・解法の過程の記述
作図(図形)
作図(グラフ) 1 1

国語

2024年度/令和6年度

出題傾向

大問1小説 大問2論説文 大問3古典 「国語」については出題形式に変更があり,独立した大問でも大問に取り込まれた形でも,いずれの形でも受験生自身に引き寄せた「作文」の出題がありませんでした。大問全てに共通する「生徒の会話」という状況設定の問いに関しても,今年度に関しては正確に本文の主題を読み取ることに力点が置かれた問いにシフトしています。まずは本文の内容を本文中の言葉で理解し,要約できる力を養成する練習が最重要です。

対策のポイント

文章を素早く読解する力と記述力が必要

論説文は,国立環境研究所ウェブページからの出題。段落ごとに述べられている内容を丁寧に読み取り,空欄補充と選択肢による内容真偽を問う問題が出題されました。また,生徒の会話と新聞記事が引用されていました。「筆者の主張は何か」を意識して解き,本文と資料の相違点を見つけ,記述する練習をしましょう。

まずは語彙力強化。時間配分も意識した学習を!

中国の戦国末期の編纂と伝わる「呂氏春秋」からの出題。かなづかいや返り点の問題は基本的なもののため,語彙力強化は必須です。最後の問題で問われた孔子の発言の真意については,要点をきちんと押さえる必要がありました。時間配分を意識し,書き下し文に併記された現代語訳を含めて話の筋を整理する練習をしましょう。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
漢字・語句 漢字(読み・書き・筆順・画数・部首)
熟語(三字熟語・四字熟語)
語句(ことわざ・慣用句)
文法 文と文節
品詞・用法
敬語、その他
表現・情報 グラフ・図表の読み取り
話し合い
伝え方の工夫
課題作文
聞き取り問題
文学史 文学史
現代文(読解) 主題・表題
大意・要旨
情景・心情
内容吟味
文脈把握
段落・文章構成
指示語
接続語
脱文・脱語補充
古典 古文のかなづかい・古語
古文の会話・主語
古文の展開
漢文・漢詩
文章のジャンル 論説文・説明文
記録文・報告文
小説・伝記
随筆・紀行・日記
和歌(短歌)
俳句・川柳
古文
漢文・漢詩

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 4 3 3
小問数 20 23 21
記号解答 4 7 6
記述式解答(漢字の読み書きも含む) 16 16 15

理科

2024年度/令和6年度

出題傾向

第1問 植物の特徴と分類 第2問 太陽と恒星・金星の動き 第3問 電流と磁界 第4問 酸・アルカリと塩 教科書に書かれている知識を身につけることは大前提ですが,言葉を覚えただけでは正解を導き出すことはできません。実験器具の使い方だけでなく,なぜそのように使わなければならないのかを理解することが重要です。現象そのものを覚えるのではなく,常に「なぜそうするのか,なぜそうなるのか」を意識して勉強しましょう。そうすることで,実験結果から得られることや,文章,表,図を見て考える問題への対応力も養われます。

対策のポイント

教科書の細かい内容までしっかり暗記!

生物分野では,植物のつくりや分類の基本的な知識が問われる問題が多く出題されていました。ジャガイモやトウモロコシ,マツ,イヌワラビなど,出題された植物については,ほとんどが教科書に出てくるもので,植物の分類だけでなく,特徴やそれに分類される植物まで暗記できているかどうかがポイントです。

実験結果から何が分かるかを読み取れるように!

酸とアルカリの問題では,酸性・アルカリ性の性質についてやメスシリンダーの読み取り方など,基本知識を問われる問題に加え,実験結果から水溶液の性質を読み取る問題も出題されました。中和について調べる実験では,水溶液の内部で何のイオンがどれだけの量存在しているかまで理解しておくことがポイントとなります。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
物理 力のはたらき
光と音
電流
電流と磁界
力のつり合いと合成、分解
運動の規則性
仕事とエネルギー
化学 物質のすがた
水溶液
状態変化
物質の成り立ち、原子・分子
物質の化学変化
化学変化と物質の質量
水溶液とイオン、電池とイオン
化学変化と電池
生物 生物の観察と分類の仕方
生物の体の共通点と相違点
生物と細胞
植物の体のつくりと働き
動物の体のつくりと働き
生物の成長とふえ方
遺伝の規則性と遺伝子
生物の種類の多様性と進化
地学 身近な地形や地層、岩石の観察
地層の重なりと過去の様子
火山と地震
自然の恵みと火山災害・地震災害
気象観測
天気の変化
日本の気象
自然の恵みと気象災害
天体の動きと地球の自転・公転
太陽系と恒星
分野融合 エネルギーと物質(物理・化学)
自然環境の保全と科学技術の利用(化学・生物)
生物と環境(生物・地学)

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 4 4 4
小問数 33 31 28
記号解答 11 16 13
短文記述 8 5 3
計算問題 3 1 1
図・グラフ、モデル 2 1 1
語句記述

社会

2024年度/令和6年度

出題傾向

大問1地理 大問2歴史 大問3公民 大問4総合問題 地理・歴史・公民分野共通して、単に語句や知識を問うのではなく,物事の本質的な理解が問われる問題が出題されています。加えて,広島県公立入試は例年,多くの記述問題が出題されてきました。記述問題に対応するためには,「なぜだろう」と問題意識を持って学習する習慣を付けておく必要があります。限られている時間を有効に活用し,普段からあらゆる方向へのアンテナを張りめぐらせて学びにつなげていくことが重要です。

対策のポイント

用語の知識はもちろん、思考力が問われる

地理では,促成栽培の趣旨を問う記述問題が出題されました。教科書にある資料や地図などで様々な事項・事象のつながりを確認し,用語だけでなくその内容を説明できることが必要です。全体的に数年前よりは解答しやすい問題ではありましたが,知識よりも思考力を求めるような出題の傾向は継続しているといえるでしょう。

社会の動きや時事問題は要チェック!

総合問題では,2023年5月に開催された「G7広島サミット」を題材として,G7各国の統計に関する問いやEUの労働者に関する問いが出題されました。また,近年のデジタル技術の発達に関する記述問題も出題されており,教科書の知識を追いかけるだけでなく,社会の動きにアンテナを張っておく必要があります。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
地理的分野 日本の姿
世界の姿
地形
気候
人口
産業・貿易 第一次産業(農林水産業)
第二次産業(工業)
第三次産業(商業・サービス業)
貿易
地域 アジア州
ヨーロッパ州
アフリカ州
南北アメリカ州
オセアニア州
九州地方、中国・四国地方
近畿地方、中部地方
関東地方、東北地方、北海道地方
歴史的分野 日本史 平安時代まで
鎌倉・室町時代
戦国・江戸時代
明治時代以降
世界史 古代
中世
近世
近・現代
テーマ史 政治・外交史
社会・経済史
文化史
公民的分野 政治 現代社会と私たちの生活
個人の尊重と日本国憲法
現代の民主政治、三権分立
地方自治
経済 消費生活と流通
企業と生産活動
財政、国民生活と福祉
国際 地球社会と私たち
経済と貿易
環境問題
時事問題

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 4 4 4
小問数 26 22 22
記号解答 9 13 13
用語記述 6 3 3
文章記述 8 6 6
作業・作図