学力検査では、中学校で習ったことをどれだけ理解しているかが試されます。最近は、知識だけでなく「思考力・判断力・表現力」が重視され、「資料の読み取り」や「自分の考えや結果に至った理由を述べる」といった、覚えた知識を活用する問題が多くなっています。こうした入試問題の出題傾向を知っておくことで、受験勉強で必要な対策がわかります。

広島県

教科別の出題傾向と対策のポイント

英語

2026年度/令和8年度

出題傾向

出題傾向は例年似ているので、過去問演習を通して解き方をおさえましょう。 【リスニング】一昨年、昨年と同じ形式で出題されています。自分の意見や考えを英文で解答する問題は,正確な文法で記述する力が求められます。 【長文読解】英問英答・適語補充・並べかえ・内容真偽など、さまざまな形式の設問で構成されています。特に英問英答は毎年出題されています。全体の内容把握が多く問われるため、まず設問を一読して本文を読むと良いでしょう。本文を読みつつ解答根拠にマーキングするなど、戦略的に解き進めましょう。

対策のポイント

要旨をとらえた長文読解トレーニングが大切です

長文メインの出題なので、定期テストに向けての教科書の学習だけでなく、日頃から長文を読み解く練習が必要です。広島県だけではなく、全国の国公立高校の入試問題を用いて、段落ごとまたは、文章全体の要旨をまとめながら、じっくり長文問題に取り組みましょう。要旨を把握するためには、単語力も必須です。

文法の理解が正答率に影響します。

広島県の特徴は、文法知識を問う出題が少ないことですが、文法力がなければ、英語を正確に読み書きできません。不安な文法単元を中心に演習しましょう。文法力が定着したら、自分の考えを英文で述べる練習が必要です。相手に伝わるよう論理的な日本語を考え、シンプルな文章を正確に書けるよう、繰り返し練習しましょう。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
リスニング 正しい答えを選ぶ
絵や地図を使う
メモ・グラフ・表を完成する
日本語[英語]で答える
自分の考えを英語で書く
発音・アクセント 発音・アクセント
くぎり・強勢・抑揚
読解 英文和訳(記述)
脱文挿入
内容吟味
要旨把握
語句解釈
語句補充・選択
段落・文整序
指示語
会話文
文法・英作文 和文英訳
単語の穴埋め
語句補充・選択
語句整序
正誤問題
言い換え・書き換え
英問英答
条件英作文
自由英作文

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 4 4 4 4
小問数 22 23 22 24
リスニング 5 5 5 5
英作文 1 2 1 2

数学

2026年度/令和8年度

出題傾向

例年、大問1・2は小問集合で、全問正解の場合25点を取ることができます。数学の平均点は約25点前後のため、大問1・2を全問正解するだけで平均点近くを取ることができます。大問1は配点が高く全問正解が可能な箇所なので、各単元の基本問題を復習し、短時間で正確に解答できるよう演習を重ねましょう。 箱ひげ図の読み取りと文字式の説明は、2022年から3年連続で出題されていましたが、今年度は出題されませんでした。入試問題の特徴として1問あたりの問題文が長いため、必要な情報の読み取りを正確に行う力が必要です。

対策のポイント

速さと割合の連立方程式は対策しておこう

大問3は連立方程式の文章題で、答えを求める過程も含めて書かせる問題でした。割合の問題のため立式ができなかった、大きい桁の数が方程式に入るため計算間違いをしたなどの理由から、答えまでたどり着けなかったかもしれません。広島県の連立方程式は速さと割合の出題頻度が高いため、対策をしておきましょう。

証明問題は出題必須。白紙にならないように練習を!

大問5は,円周上の点を結んでできる三角形に関する問題が2題出題されました。広島県の図形の証明は全文を書かせることが多く、(2)は予想が成り立つ証明を全文書く必要がありました。説明・証明問題の配点は3~5点と高いため、全文書けなくても部分点をとれるよう、分かることを簡潔にまとめる練習をしましょう。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
数と式 正負の数
文字式
方程式・不等式
式の計算
連立方程式
平方根
多項式
2次方程式
関数 比例と反比例
1次関数
関数 y = ax2
図形 平面図形
空間図形
平面図形と平行線の性質
図形の合同
図形の相似
円周角と中心角
三平方の定理
データの活用 データの分布・比較
確率
標本調査

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 6 6 6 6
小問数 18 19 19 22
記述問題 図形の証明(説明) 1 1 1 1
その他の説明・証明など 2 2 1
立式・解法の過程の記述 1
作図(図形)
作図(グラフ) 1 1

国語

2026年度/令和8年度

出題傾向

大問1小説 大問2論説文 大問3古典 本文に加え、国語の授業での話し合いをまとめた資料や、生徒の会話が付属した形態は踏襲されています。初見の本文を追いながら筆者の主張を押さえたり、文学的文章であれば丁寧に登場人物のやりとりを確認していく必要があります。古文については、表現技法や文法に関する基本的な知識は習得し、丁寧に本文の内容を追っていく訓練をしておかなくてはなりません。また、解答作成に際しては句読点が必要か等、問題条件をしっかり確認する習慣をつけておくようにしてください。

対策のポイント

筆者の主張となる記述を特定する練習を!

論説文の指示語の問題については該当箇所が離れておらず、比較的容易でした。内容にかかわる適語補充や筆者の主張を踏まえた記述問題は,本文の主旨を把握する必要があります。本文に用いられたカッコつきの語句や反復された語句に、筆者がどのような意味を込めているか理解しながら読むことが解答へのカギとなります。

まずは語彙力強化。時間配分も意識した学習を!

江戸後期の国学者である清水浜臣の随筆「泊洦筆話」からの出題。基本的な古文の知識事項として仮名遣いについては一問目で問われていますが、以降はすべて話の筋に関わるものでした。本文への傍注も多くはなく、順を追って丁寧に内容を押さえていく力が求められます。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
漢字・語句 漢字(読み・書き・筆順・画数・部首)
熟語(三字熟語・四字熟語)
語句(ことわざ・慣用句)
文法 文と文節
品詞・用法
敬語、その他
表現・情報 グラフ・図表の読み取り
話し合い
伝え方の工夫
課題作文
聞き取り問題
文学史 文学史
現代文(読解) 主題・表題
大意・要旨
情景・心情
内容吟味
文脈把握
段落・文章構成
指示語
接続語
脱文・脱語補充
古典 古文のかなづかい・古語
古文の会話・主語
古文の展開
漢文・漢詩
文章のジャンル 論説文・説明文
記録文・報告文
小説・伝記
随筆・紀行・日記
和歌(短歌)
俳句・川柳
古文
漢文・漢詩

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 4 3 3 3
小問数 20 23 21 23
記号解答 4 7 6 3
記述式解答(漢字の読み書きも含む) 16 16 15 20

理科

2026年度/令和8年度

出題傾向

第1問 小問集合 第2問 日本の気象 第3問 動物の体のつくりと働き 第4問 酸・アルカリと塩 第5問 運動の規則性 小問集合形式の大問が1つ増え、化学・物理・生物・地学がバランスよく出題されました。計算問題は、公式を使いこなして解けるかがポイントでした。用語は基本的なものが中心でしたが、単純な暗記ではなく、知識同士のつながりを意識しながら用語を理解していく必要があります。文章記述の問題も、例年出題されているため、簡潔で適切な文章表現ができる練習をしておきましょう。

対策のポイント

教科書の図を理解し適切に記述する演習を!

生物分野では、刺激に対する信号の経路の問題と、人の腕の筋肉のつき方の問題が出題されました。いずれも、教科書の図を確認していたかで理解に差がつきやすいポイントです。加えて記述問題のため、適切な表現ができるようにしっかりと演習しておきましょう。

グラフのどこを読み取るかを理解する演習をする

酸とアルカリの問題では、状態変化の際の粒子の数、粒子同士の間隔を問う問題や、水とみりんからエタノールを取り出す実験が出題されました。また、温度による溶解度の違いを利用して結晶を取り出す実験では、問題文を読んでグラフのどこを読み取るのかを理解して計算する演習が必要です。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
物理 力のはたらき
光と音
電流
電流と磁界
力のつり合いと合成、分解
運動の規則性
仕事とエネルギー
化学 物質のすがた
水溶液
状態変化
物質の成り立ち、原子・分子
物質の化学変化
化学変化と物質の質量
水溶液とイオン、電池とイオン
化学変化と電池
生物 生物の観察と分類の仕方
生物の体の共通点と相違点
生物と細胞
植物の体のつくりと働き
動物の体のつくりと働き
生物の成長とふえ方
遺伝の規則性と遺伝子
生物の種類の多様性と進化
地学 身近な地形や地層、岩石の観察
地層の重なりと過去の様子
火山と地震
自然の恵みと火山災害・地震災害
気象観測
天気の変化
日本の気象
自然の恵みと気象災害
天体の動きと地球の自転・公転
太陽系と恒星
分野融合 エネルギーと物質(物理・化学)
自然環境の保全と科学技術の利用(化学・生物)
生物と環境(生物・地学)

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 4 4 4 5
小問数 33 31 28 24
記号解答 11 16 13 17
短文記述 8 5 3 4
計算問題 3 1 1 1
図・グラフ、モデル 2 1 1 0
語句記述

社会

2026年度/令和8年度

出題傾向

大問1地理 大問2歴史 大問3公民 大問4総合問題 地理・歴史・公民分野共通して、単に語句や知識を問うのではなく、物事の本質的な理解が問われる問題が出題されています。加えて,広島県公立入試は例年、多くの記述問題が出題されてきました。記述問題に対応するためには、「なぜだろう」と問題意識を持って学習する習慣を付けておく必要があります。限られている時間を有効に活用し、普段からあらゆる方向へのアンテナを張りめぐらせて学びにつなげていくことが重要です。

対策のポイント

用語の知識はもちろん、思考力が問われる

地理では、世界地図を参照しながら気候や宗教を検討させる問いや、アメリカ国内での産業の分布状況を考えさせる問いが出題されました。全体的に数年前よりは解答しやすい問題ではありましたが、知識よりも思考力を求めるような出題の傾向は継続しているといえるでしょう。

「なぜだろう」という問題意識を持って学習する

総合問題は「昭和と令和のそれぞれの社会の様子」というテーマのもと、金融・資源・娯楽について、資料・グラフを用いての出題でした。近年よく取り上げられるデジタル・ディバイドの問題点や対策についても出題されています。記述問題に対応するために、普段から問題意識を持って学習する習慣をつけておく必要があります。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
地理的分野 日本の姿
世界の姿
地形
気候
人口
産業・貿易 第一次産業(農林水産業)
第二次産業(工業)
第三次産業(商業・サービス業)
貿易
地域 アジア州
ヨーロッパ州
アフリカ州
南北アメリカ州
オセアニア州
九州地方、中国・四国地方
近畿地方、中部地方
関東地方、東北地方、北海道地方
歴史的分野 日本史 平安時代まで
鎌倉・室町時代
戦国・江戸時代
明治時代以降
世界史 古代
中世
近世
近・現代
テーマ史 政治・外交史
社会・経済史
文化史
公民的分野 政治 現代社会と私たちの生活
個人の尊重と日本国憲法
現代の民主政治、三権分立
地方自治
経済 消費生活と流通
企業と生産活動
財政、国民生活と福祉
国際 地球社会と私たち
経済と貿易
環境問題
時事問題

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 4 4 4 4
小問数 26 22 22 23
記号解答 9 13 13 13
用語記述 6 3 3 4
文章記述 8 6 6 6
作業・作図