学力検査では、中学校で習ったことをどれだけ理解しているかが試されます。最近は、知識だけでなく「思考力・判断力・表現力」が重視され、「資料の読み取り」や「自分の考えや結果に至った理由を述べる」といった、覚えた知識を活用する問題が多くなっています。こうした入試問題の出題傾向を知っておくことで、受験勉強で必要な対策がわかります。

栃木県

教科別の出題傾向と対策のポイント

英語

2026年度/令和8年度

出題傾向

大問数5問、小問数38、リスニング問題数10、英作文の問題数ともにほぼ例年通りでした。 大問1のリスニング問題は、対話を聞いて、その内容についての質問の答えを選ぶ問題とメモを完成させる問題。大問2は、英文法+英文整序+自由英作文。一昨年度まで自由英作文は大問5でしたが、昨年度からは大問2に出題。大問3は説明文。内容は例年「意外と知られていない豆知識」が多いですが、今年度はプロギング(ゴミ拾いしながらのジョギング)の紹介でした。大問4は物語文。例年通り「ハッピーエンド」型の内容。大問5は対話文+英作文でした。

対策のポイント

長文読解が大問5問中3問(説明文・物語文・対話文)も出る!

栃木県の県立入試の英語では、長文中の語句や文に線が引かれ、その内容や理由を答えさせる出題が多くなっています。攻略のポイントは3つ。①答えの『根拠』となる部分を探す。②その部分を正確に和訳する。③文の最後を言い換えたりして体裁を整える。最も大切なのは①。抜き出すところを間違えないよう注意が必要です。

まとまりのある5文程度で書く自由英作文が出る!

毎年出題される自由英作文ですが、特筆すべきは「条件が多い」ことです。①「本文でイラストを見て説明している英文に注目」②「英文とイラストからヒント・キーワードを得る」③「簡単な英語で表す」の順で攻略します。標準配点でも6点、傾斜配点のある高校では8~10点と非常に配点が高いです。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
リスニング 正しい答えを選ぶ
絵や地図を使う
メモ・グラフ・表を完成する
日本語[英語]で答える
自分の考えを英語で書く
発音・アクセント 発音・アクセント
くぎり・強勢・抑揚
読解 英文和訳(記述)
脱文挿入
内容吟味
要旨把握
語句解釈
語句補充・選択
段落・文整序
指示語
会話文
文法・英作文 和文英訳
単語の穴埋め
語句補充・選択
語句整序
正誤問題
言い換え・書き換え
英問英答
条件英作文
自由英作文

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 5 5 5 5
小問数 36 37 38 38
リスニング 10 10 11 10
英作文 1 1 2 2

数学

2026年度/令和8年度

出題傾向

大問数6問、小問数28問でほぼ例年通りでした。 大問1は小問集合、大問2は数と式からの出題、大問3は2022年より統計から図形の証明、大問4は図形の証明から統計へ、大問5は関数、大問6は規則性の問題でした。 大問2の「式の計算による説明」は栃木県では頻出、大問3の「図形の証明」は、標準配点が6点(傾斜8点)と大きいです。大問5は「一次関数、反比例、放物線」からの出題となり、「自分でグラフを書く力」が必要とされます。大問6の「規則性の問題」は、大学入学共通テストのような本文が長くて複雑な問題が出されています。

対策のポイント

「一次関数の文章題」 が出る!

栃木県の県立高校入試の数学と言えば、「一次関数の文章題」と言われるくらい毎年出題されています。しかも、その問題の文の長さやレベル自体も全国レベルと言えるぐらい複雑で、難問が多いです。図形(面積)と絡めた出題が多いので、「自分で図を書くこと」と「自分でグラフを書く力」が必要となります。

「規則性の問題」 が出る!

例年出ている重要問題。図形が絡んだ出題が多いので、面倒がらずに自分で図を書いてみることから始めていきましょう。「文字式の立式」や「方程式の文章題」のような問題を使って、「文字を使って式に表す対策」が必要です。わからなかったら、一度答えを見て流れをつかんでからもう一度自力で解くようにしましょう。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
数と式 正負の数
文字式
方程式・不等式
式の計算
連立方程式
平方根
多項式
2次方程式
関数 比例と反比例
1次関数
関数 y = ax2
図形 平面図形
空間図形
平面図形と平行線の性質
図形の合同
図形の相似
円周角と中心角
三平方の定理
データの活用 データの分布・比較
確率
標本調査

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 6 6 6 6
小問数 30 29 28 28
記述問題 図形の証明(説明) 1 1 1 1
その他の説明・証明など 1 1 1 1
立式・解法の過程の記述 3 5 6 4
作図(図形) 1 1 1 1
作図(グラフ) 1 0 1 0

国語

2026年度/令和8年度

出題傾向

大問1:漢字の読み書き 大問2:説明的文章 〈A〉今野真二『日本語と漢字』および 〈B〉加藤徹『漢文の素養』 大問3:文学的文章 君嶋彼方『春のほとりで』 大問4:古文 『耳嚢』 大問5:『文法・知識事項』と資料をもとにした『作文』 大問構成は前年までと同様。しかし、大問2で、AとBの2つの論説文からの出題という珍しい形式でしたが、内容理解にそれほど難しい箇所はありませんでした。 大問4の古文では、後半の漢文の書き下し文や和歌における掛詞という表現技法が問われました。

対策のポイント

約1600字の説明的文章と約2400字の文学的文章が出る!

説明的文章の記述問題は、60字以内の字数指定が1問だけで、解答根拠は本文中から見つかりますが、それらをつなぎあわせるだけでは高得点は望めない問題でした。文学的文章の記述では2問の出題で、字数指定はそれぞれ50字以内と55字以内。そのうちの字数の多い方は、先ほど同様、つなぎあわせでは高得点は望めません。

「文法と知識事項と作文」が大問5に出る!

大問5での作文の出題は続いています。今まで大問1で出題されていた文法事項としては熟語や品詞についての問題が、知識事項としては正しい敬語表現に関する出題がなされました。作文は、標準配点が例年だと20点でしたが、2024年からは12点になり、作文の分量としては今まで同様、200字以上240字以内でした。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
漢字・語句 漢字(読み・書き・筆順・画数・部首)
熟語(三字熟語・四字熟語)
語句(ことわざ・慣用句)
文法 文と文節
品詞・用法
敬語、その他
表現・情報 グラフ・図表の読み取り
話し合い
伝え方の工夫
課題作文
聞き取り問題
文学史 文学史
現代文(読解) 主題・表題
大意・要旨
情景・心情
内容吟味
文脈把握
段落・文章構成
指示語
接続語
脱文・脱語補充
古典 古文のかなづかい・古語
古文の会話・主語
古文の展開
漢文・漢詩
文章のジャンル 論説文・説明文
記録文・報告文
小説・伝記
随筆・紀行・日記
和歌(短歌)
俳句・川柳
古文
漢文・漢詩

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 5 5 5 5
小問数 33 33 33 33
記号解答 14 15 14 16
記述式解答(漢字の読み書きも含む) 19 18 19 17

理科

2026年度/令和8年度

出題傾向

令和7年度の理科では傾斜配点の設定高校はありません。 物理、化学、生物、地学から大問は計8問。 昨年度までは、大問1が上記4分野からの小問集合でした。 大問1はタマネギの根の成長に関する問題。 大問2は凸レンズの性質に関する問題。 大問3は地震の伝わり方に関する問題。 大問4は酸・アルカリに関する問題。 大問5はコイルと磁石に関する問題。 大問6はヒトの呼吸と細胞のはたらきに関する問題。 大問7はエタノールの状態変化に関する問題。 大問8は地球から見た星座と太陽の位置関係に関する問題。

対策のポイント

「物質の状態とその体積の関係」が「モデル」で出された!

特に、実験上の注意点(エタノールの引火性)を聞かれる問題が出題されました。教科書に載っている実験上の注意点をしっかりと理解しておく必要があります。また、物質の状態変化では質量は変わらず、体積は変化します。物質のモデルの「粒子」の数は変化しませんが、加熱された物質は膨張(体積が増え)、「粒子」は自由に飛び回ります。

地学分野の対策も頭の中に入れておこう!

地学分野は中学校で履修する時期が遅く、演習不足になりがちな分野。問題演習をする時間を確保するべきです。また、図がある場合、どの条件をどう使用するのかにも注意が必要。地球の公転の向き(反時計回り)や日の出・日の入りの時の地球上の位置関係(方角)と時刻などが自分で割り出せるようにしておきましょう。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
物理 力のはたらき
光と音
電流
電流と磁界
力のつり合いと合成、分解
運動の規則性
仕事とエネルギー
化学 物質のすがた
水溶液
状態変化
物質の成り立ち、原子・分子
物質の化学変化
化学変化と物質の質量
水溶液とイオン、電池とイオン
化学変化と電池
生物 生物の観察と分類の仕方
生物の体の共通点と相違点
生物と細胞
植物の体のつくりと働き
動物の体のつくりと働き
生物の成長とふえ方
遺伝の規則性と遺伝子
生物の種類の多様性と進化
地学 身近な地形や地層、岩石の観察
地層の重なりと過去の様子
火山と地震
自然の恵みと火山災害・地震災害
気象観測
天気の変化
日本の気象
自然の恵みと気象災害
天体の動きと地球の自転・公転
太陽系と恒星
分野融合 エネルギーと物質(物理・化学)
自然環境の保全と科学技術の利用(化学・生物)
生物と環境(生物・地学)

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 9 9 9 8
小問数 36 36 36 32
記号解答 19 15 19 20
短文記述 4 6 5 3
計算問題 6 5 5 7
図・グラフ、モデル 3 3 1 2
語句記述

社会

2026年度/令和8年度

出題傾向

大問は地理2問、歴史2問、公民2問の計6問で昨年と同じでした。小問は44問、文章記述問題は6問でした。 大問1は日本地理からの出題で、関東地方の交通・交易、気候・産業の問題でした。大問2は世界地理からの出題で、一つの地域にとどまらず、文化・貿易・気候・鉱業の問題でした。大問3は歴史からの出題で、古代~近世の問題でした。大問4は歴史からの出題で、近代~現代の問題でした。大問5は公民からの出題で、政治・経済分野の問題でした。大問6は公民からの出題で、国際分野の問題でした。

対策のポイント

苦手な人が多い「資料を読みとる論述問題」が出る!

大問1の2(3)は、国内の貨物輸送量の輸送機関別割合を問題文の資料の図から読み取るという問題でした。この問題は単に、国内の貨物輸送において鉄道が減り、自動車が増えたという覚え方ではなく、数値としてどのくらい減ったか・増えたかを具体的につかむことがポイントです。教科書にもグラフが掲載されていますので、見ておく必要があります。

「現代史」が出る!

2025年度は、「歴史」と言うには新しく、「公民」分野にもつながる「現代史」が出題されました。日本が抱える現状の問題や今後の課題などがこれからも出題される傾向にあると考えられます。大問4の4で、55年体制の崩壊時期が解答できたかがポイント。日常生活の中で、新聞やニュースなどを意識的に見るとよいです。

過去4年間の出題実績

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分野 出題内容 2022年 2023年 2024年 2025年
地理的分野 日本の姿
世界の姿
地形
気候
人口
産業・貿易 第一次産業(農林水産業)
第二次産業(工業)
第三次産業(商業・サービス業)
貿易
地域 アジア州
ヨーロッパ州
アフリカ州
南北アメリカ州
オセアニア州
九州地方、中国・四国地方
近畿地方、中部地方
関東地方、東北地方、北海道地方
歴史的分野 日本史 平安時代まで
鎌倉・室町時代
戦国・江戸時代
明治時代以降
世界史 古代
中世
近世
近・現代
テーマ史 政治・外交史
社会・経済史
文化史
公民的分野 政治 現代社会と私たちの生活
個人の尊重と日本国憲法
現代の民主政治、三権分立
地方自治
経済 消費生活と流通
企業と生産活動
財政、国民生活と福祉
国際 地球社会と私たち
経済と貿易
環境問題
時事問題

過去4年間の出題数

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出題形式 2022年 2023年 2024年 2025年
大問数 6 6 6 6
小問数 44 44 44 44
記号解答 26 30 25 24
用語記述 12 7 13 14
文章記述 6 7 6 6
作業・作図 0 0 0 0