学力検査では、中学校で習ったことをどれだけ理解しているかが試されます。最近は、知識だけでなく「思考力・判断力・表現力」が重視され、「資料の読み取り」や「自分の考えや結果に至った理由を述べる」といった、覚えた知識を活用する問題が多くなっています。こうした入試問題の出題傾向を知っておくことで、受験勉強で必要な対策がわかります。

栃木県

教科別の出題傾向と対策のポイント

英語

2024年度/令和6年度

出題傾向

大問数5問、小問数38、リスニング問題数11、英作文の問題数ともにほぼ例年通り。 大問1のリスニング問題は、対話を聞いて、その内容についての質問の答えを選ぶ問題とメモを完成させる問題。大問2は、英文法+英文整序+自由英作文。昨年度まで自由英作文は大問5だったが、今年度は大問2に出題。大問3は説明文。教科書レベルではあるが、要語彙力。大問4は物語文。例年通り「ハッピーエンド」型の内容。大問5は対話文+英作文。対話文は、下線部の内容把握や適語補充、英作文は、本文の内容を読み、空所を補う問題。

対策のポイント

長文読解が大問5問中3問も出る!

栃木県の県立入試の英語では、長文中の語句や文に線が引かれ、その内容や理由を答えさせる出題が多くなっています。攻略のポイントは3つ。①答えのもととなる部分を探す。②その部分を過不足なく和訳する。③文の最後を言い換えたりして体裁を整える。最も大切なのは①。抜き出すところを間違えないよう注意。

まとまりのある5文程度で書く自由英作文が出る!

毎年出題される自由英作文ですが、特筆すべきは「条件が多い」ことです。一見すると、問題文にそのまま書いてあるように3つだけの条件と思いきや、よく本文を読んでみると問題文以外の条件も加味しないといけないこともあります。標準配点でも6点、傾斜配点のある高校では8~10点と非常に配点が高いです。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
リスニング 正しい答えを選ぶ
絵や地図を使う
メモ・グラフ・表を完成する
日本語[英語]で答える
自分の考えを英語で書く
発音・アクセント 発音・アクセント
くぎり・強勢・抑揚
読解 英文和訳(記述)
脱文挿入
内容吟味
要旨把握
語句解釈
語句補充・選択
段落・文整序
指示語
会話文
文法・英作文 和文英訳
単語の穴埋め
語句補充・選択
語句整序
正誤問題
言い換え・書き換え
英問英答
条件英作文
自由英作文

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 5 5 5
小問数 36 37 38
リスニング 10 10 11
英作文 1 1 2

数学

2024年度/令和6年度

出題傾向

大問数6問、小問数28問でほぼ例年通り。 大問1は小問集合、大問2は式の計算による説明、大問3は図形の証明、大問4は統計分野(箱ひげ図)、大問5は関数、大問6は規則性の問題でした。 大問5の関数は毎年恒例の出題であり、一次関数がほとんどの出題を占めますが、栃木県の県立入試の数学の問題では、「自分でグラフを書く力」が必要とされます。大問6の規則性の問題は、本年初めて図形がなく、大学入学共通テストのような「先生と生徒のやりとり」だけで問題が構成されています。

対策のポイント

「一次関数の文章題」 が出る!

栃木県の県立高校入試の数学と言えば、「一次関数の文章題」と言われるくらい毎年出題されます。しかも、その問題のレベル自体も全国レベルと言えるぐらいの難問が多いです。図形(面積)と絡めた出題が多いので、「自分で図を書く」ことと「自分でグラフを書く力」が必要となります。

「規則性の問題」 が出る!

例年出ている重要問題です。図形が絡んだ出題が多いので、面倒がらずに自分で図を書いてみることから始めていきましょう。「文字式の立式」や「方程式の文章題」のような問題を使って、「文字を使って式に表す対策」が必要です。わからなかったら一度答えを見て流れをつかんでから、もう一度自力で解いてみましょう。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
数と式 正負の数
文字式
方程式・不等式
式の計算
連立方程式
平方根
多項式
2次方程式
関数 比例と反比例
1次関数
関数 y = ax2
図形 平面図形
空間図形
平面図形と平行線の性質
図形の合同
図形の相似
円周角と中心角
三平方の定理
データの活用 データの分布・比較
確率
標本調査

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 6 6 6
小問数 30 29 28
記述問題 図形の証明(説明) 1 1 1
その他の説明・証明など 1 1 1
立式・解法の過程の記述 3 5 6
作図(図形) 1 1 1
作図(グラフ) 1 0 1

国語

2024年度/令和6年度

出題傾向

大問1:漢字の読み書き 大問2:説明的文章 原瑠璃彦「日本庭園をめぐる」 大問3:文学的文章 真木涼介「勿忘草をさがして」 大問4:古文 本居宣長「玉勝間」 大問5:『文法・知識事項』と資料をもとにした『作文』 大問構成は2023年までとかなりの変更がありました。今までの大問構成は、1⃣漢字と文法・語句知識→2⃣古文→3⃣説明的文章→4⃣文学的文章→5⃣作文の順序でした。生徒にとっては戸惑いのあった変更だったかもしれません。

対策のポイント

約1800字の説明的文章と文学的文章、古文が出る!

説明的文章の記述問題は、45字以内の字数指定が1問だけで、本文中の語句を使って書けば部分点がもらえる問題、文学的文章の記述では2問の出題で、字数指定は40字以内と65字以内。そのうちの一つは、登場人物の状況を記憶の中の情景と重ね合わせて読み取るもので、解答を作るためには読解力と表現力の両方が必要です。

「文法と知識事項と作文」が大問5に出る!

大問5での作文の出題は続いています。今まで大問1で出題されていた文法事項としては熟語や品詞についての問題が、知識事項としては俳句・季語に関する問題が出題されました。作文は、標準配点が例年だと20点でしたが、2024年は12点になり、作文の分量としては今まで同様、200字以上240字以内でした。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
漢字・語句 漢字(読み・書き・筆順・画数・部首)
熟語(三字熟語・四字熟語)
語句(ことわざ・慣用句)
文法 文と文節
品詞・用法
敬語、その他
表現・情報 グラフ・図表の読み取り
話し合い
伝え方の工夫
課題作文
聞き取り問題
文学史 文学史
現代文(読解) 主題・表題
大意・要旨
情景・心情
内容吟味
文脈把握
段落・文章構成
指示語
接続語
脱文・脱語補充
古典 古文のかなづかい・古語
古文の会話・主語
古文の展開
漢文・漢詩
文章のジャンル 論説文・説明文
記録文・報告文
小説・伝記
随筆・紀行・日記
和歌(短歌)
俳句・川柳
古文
漢文・漢詩

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 5 5 5
小問数 33 33 33
記号解答 14 15 14
記述式解答(漢字の読み書きも含む) 19 18 19

理科

2024年度/令和6年度

出題傾向

例年通り大問は9問構成。物理、化学、生物、地学から計8問、小問集合が大問で1問(その中の小問で8問)出題。大問1は物理、化学、生物、地学から各2問ずつの出題がある小問集合。記号選択が4問、語句や数値で答える問題が4問。 大問2は土の中の微生物の働きに関する問題。 大問3は電流、電力量の計算問題。 大問4は天気に関する問題。 大問5はダニエル電池に関する問題。 大問6は大地の成り立ちと地層に関する問題。 大問7は植物の分類に関する問題。 大問8は浮力に関する問題。 大問9は熱分解に関する問題。

対策のポイント

「電流と消費電力、電力量」が出やすい!

特に、電流・電圧・抵抗(オームの法則)の公式や消費電力(W)や電力量(Wh)の公式の使い分けを基本として、まずは計算問題を数多く解くようにしましょう。また、計算に利用する数値は、表や資料から読み取る必要もあるため、文章の読解や資料の分析はしっかり行うようにしましょう。

地学分野の対策も頭の中に入れておこう!

特に、地学分野は中学校で履修する時期が遅く、演習不足になりがちな分野です。意識して問題演習をする時間を確保するべきでしょう。また、資料がある場合、どの数値・条件を使用するのかにも注意が必要です。そして、入試本番では時間配分にも気をつけながら、見直しもする時間を確保しましょう。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
物理 力のはたらき
光と音
電流
電流と磁界
力のつり合いと合成、分解
運動の規則性
仕事とエネルギー
化学 物質のすがた
水溶液
状態変化
物質の成り立ち、原子・分子
物質の化学変化
化学変化と物質の質量
水溶液とイオン、電池とイオン
化学変化と電池
生物 生物の観察と分類の仕方
生物の体の共通点と相違点
生物と細胞
植物の体のつくりと働き
動物の体のつくりと働き
生物の成長とふえ方
遺伝の規則性と遺伝子
生物の種類の多様性と進化
地学 身近な地形や地層、岩石の観察
地層の重なりと過去の様子
火山と地震
自然の恵みと火山災害・地震災害
気象観測
天気の変化
日本の気象
自然の恵みと気象災害
天体の動きと地球の自転・公転
太陽系と恒星
分野融合 エネルギーと物質(物理・化学)
自然環境の保全と科学技術の利用(化学・生物)
生物と環境(生物・地学)

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 9 9 9
小問数 36 36 36
記号解答 19 15 19
短文記述 4 6 5
計算問題 6 5 5
図・グラフ、モデル 3 3 1
語句記述

社会

2024年度/令和6年度

出題傾向

大問は地理2問、歴史2問、公民2問の計6問で昨年と同じでした。小問は44問、文章記述問題は6問でした。 例年通り全体的に基本的な知識を問う問題が多く、文章記述問題の多くは、書くべき内容が2つある『二項論述』問題です。地理・歴史・公民と各分野を問わず出題されるので、対策が必要です。今年度は、自然な人口増減(=出生数-死亡数)と社会的な人口増減(=転入数-転出数)に触れながら東京都と沖縄県の人口に関する統計など時事的なテーマ設定の大問が見られました。

対策のポイント

苦手な人が多い「資料を読みとる論述問題」が出る!

大問1の4(5)で、書くべき内容である「自然な人口増減」と「社会的な人口増減」を問題文の資料の図から読み取ります。概数での計算は必要ですが、東京都は自然な人口の減少と社会的な人口の増加の一方、沖縄県は自然な人口の増加と社会的な人口の減少となっており、その両方を書けるかが高得点のカギになっています。

「時事問題」が出る!

2024年度は、「少子化」「働き方改革」など日本が抱える現状の問題や今後の課題などが、公民の分野から出題されました。大問5の7で、【Ⅰ】は図から「子育て」・「育児」の文言を読み取り、それに相当する言葉で解答できたかがポイントです。日常生活の中で、新聞やニュースなどを意識的に見るとよいでしょう。

過去3年間の出題実績

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

分野 出題内容 2022年 2023年 2024年
地理的分野 日本の姿
世界の姿
地形
気候
人口
産業・貿易 第一次産業(農林水産業)
第二次産業(工業)
第三次産業(商業・サービス業)
貿易
地域 アジア州
ヨーロッパ州
アフリカ州
南北アメリカ州
オセアニア州
九州地方、中国・四国地方
近畿地方、中部地方
関東地方、東北地方、北海道地方
歴史的分野 日本史 平安時代まで
鎌倉・室町時代
戦国・江戸時代
明治時代以降
世界史 古代
中世
近世
近・現代
テーマ史 政治・外交史
社会・経済史
文化史
公民的分野 政治 現代社会と私たちの生活
個人の尊重と日本国憲法
現代の民主政治、三権分立
地方自治
経済 消費生活と流通
企業と生産活動
財政、国民生活と福祉
国際 地球社会と私たち
経済と貿易
環境問題
時事問題

過去3年間の出題数

左右にスワイプすると
表の続きが見れます

出題形式 2022年 2023年 2024年
大問数 2022 2023 2024
小問数 6 6 6
記号解答 44 44 44
用語記述 26 30 25
文章記述 12 7 13
作業・作図 6 7 6