小論文とは?構成や書き方のポイント、上達への対策【例文付き】

小論文は高校入試や大学入試などで出題されることがあるものの、「対策方法がよくわからない」と悩む受験生は少なくありません。小論文試験で高得点を取るためには、書き方のコツを確かめておくことが重要です。対策ポイントをチェックして、上達のために練習していきましょう。この記事では、小論文の基礎知識や基本の書き方のコツ、上手に書けるようになるための練習方法をご紹介します。

この記事のポイント

  1. 小論文の基礎知識
  2. 小論文の書き方のコツ【例文付き】
  3. 小論文を上手く書くための主な対策と練習方法
  4. 小論文を書くコツを押さえて練習を繰り返しましょう

小論文の基礎知識

最初に小論文とはどのようなものかについて確認しておきましょう。ここでは、小論文の概要や基本の構成、作文との違いなどを解説します。

そもそも小論文とは?

小論文とは、文字通り小さな「論文」のことです。テーマに沿って自分の考えを論理的に表すことが求められます。読み手に対して説得力のある文章を書く必要があり、明確な意見を適切な構成で示さなくてはいけません。小説のように上手な言い回しや美しい表現は使用せず、筋道立てて論理的な文章を書く意識が大切です。

小論文の構成

小論文は結論・反論・根拠・まとめの4部構成で書かれることが基本です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

【結論】
冒頭ではもっとも伝えたい意見を述べます。この時点では細かい理由や根拠などについては明言しません。まずは簡潔に自分の主張を述べ、理由は後のパートで説明します。
【反論】
冒頭で提示した自分の意見と反対の内容を提示します。自分が主張したいことだけを書くよりも、反対意見に対して反論することで説得力が増すためです。
【根拠】
自分が主張したいことに対する根拠を述べます。ここでしっかりした根拠を提示できれば、小論文全体の説得力が高まります。
【まとめ】
文章の締めで、最初に述べた結論を繰り返します。最後にもう一度結論を述べることで、意見・主張が伝わりやすくなるためです。

小論文と作文の違い

小論文と作文は一見よく似ていますが、それぞれの目的は異なります。小論文はテーマに即した「意見」を書くものです。論拠を示しながら客観的な視点から文章を作成します。

一方、作文は自分の主観をもとに「感想」を書く点が異なります。豊かな表現力も評価の対象です。小論文を書くときは、作文とは違うものであると意識しておくことが大事です。

小論文の種類

小論文には主に4つの種類があるといわれています。受験予定の学校の小論文の過去問を分析し、タイプに合わせた小論文対策を進めていきましょう。

テーマ読み取り型小論文
与えられたテーマについて論じるタイプの小論文です。問題文には「~について論じなさい」といった形式でテーマが示されます。その時々で話題になっている社会的なテーマが多い傾向です。教育学部であれば教育関連のテーマといったように、大学入試などは学部系統に応じたテーマが出されることもあります。
課題文読み取り型小論文
課題文を読み、その内容について自分の意見を述べるタイプの小論文です。文章をまとめる力はもちろん、出題者の意図をくみ取る読解力も求められます。小論文のなかではもっとも多い出題形式といわれています。
グラフ等読み取り型小論文
提示されたグラフや図表などから読み取れる結果をまとめるタイプの小論文です。データの特徴を掴み、その結果が出ている理由を考察するパターンもあります。
教科型小論文
理科の論述や数学の証明、英文読解など、他の教科の知識を使って書くタイプの小論文です。小論文というよりは、他の教科の学力が求められます。

小論文の書き方のコツ【例文付き】

ここでは、「テーマ読み取り型小論文」の例題を用いた小論文の書き方のコツを解説します。例文を参考に、小論文の具体的な書き方をステップごとに整理していきましょう。

【例題】学生がスマートフォンを持つことについて、あなたの意見を述べてください。

【結論】と【反論】の例文と書き方のコツ

学生がスマートフォンを持つことに反対という意見を目にすることが多い。しかし、スマートフォンを所持することにはさまざまなメリットがあるといえる。
たしかに、学生がスマートフォンに依存したり、SNSでトラブルに遭ったりといった問題がニュースになることもある。ただし、これは家庭で決めた使い方のルールを守ることで防げる可能性が高いと考えられる。

小論文の書き出しは、全体の結論を簡潔に述べます。このとき、主観を入れすぎないことを心がけましょう。設問で聞かれていない主観的な結論を書くのは望ましくありません。文字数稼ぎと思われてしまうような、不要な内容を書くのも避けましょう。

反論では「たしかに、○○だが……」「一般的には○○といわれているが……」と、自分の意見とは異なる立場の意見を述べます。それを乗り越えるような形で自分の意見の主張へつなげます。

【根拠】の例文と書き方のコツ

実際に、スマートフォンを便利に使いこなしている学生は多い。私の周りでも、家族や友人との連絡にスマートフォンを使い、気軽にコミュニケーションを取り合っている人が多く見られる。勉強アプリをインストールして、隙間時間を有効活用して勉強している人も少なくない。

スマートフォンを持つことのメリットについて書いていきます。このとき、①結論と②反論の繰り返しにならないように気をつけましょう。

また、スマートフォンは学生の安全を考えても所持しておくメリットが大きいといえる。例えば、親子で位置情報を共有することで居場所を確認でき、危険がないかを確かめられる。災害時の緊急連絡手段としても有効なため、突発的な事態を考えると持ち歩いていたほうが安心といえる。

スマートフォンを持つメリットについて、さらに話題を広げていきます。表面的な話題で終わらせず、なるべく深掘りしていきましょう。

根拠の部分を丁寧に書いて膨らませることで説得力のある小論文に仕上げられます。客観的なデータがある場合は利用しますが、用意するのが難しい場合は自分の体験を盛り込んでいくと良いでしょう。

【まとめ】の例文と書き方のコツ

このように、スマートフォンを学生が持つことには多くのメリットがある。使用時間に制限を設けるなどの方法で家庭ごとにルールを決めれば、各種トラブルも防ぎながら便利に使っていけると考えられる。

提示された問題に対する答えを書いてまとめます。主観的な感想を書く必要はなく、あくまでも自分の意見を述べるように気をつけましょう。

小論文を上手く書くための主な対策と練習方法

小論文を上手に書けるようになるためには、対策方法を把握して練習することが大切です。ここでは、小論文対策の主な方法やコツをご紹介します。

主な対策

小論文の評価基準を理解する

小論文の採点者は、一定の評価基準をもとに回答をチェックしています。加点対象・減点対象をきちんと理解した上で小論文を書けば、減点されにくくなるはずです。主な評価基準を確認してみましょう。

表記部分 ・段落を分けるタイミングや1字下げるルールが守られている
・文字数を規定通りに書いている
・「だ・である調」で統一されている
・「い抜き・ら抜き言葉」や誤字脱字が含まれていない
・主語・述語を正しい関係で書いている
・略語や若者言葉などを使っていない など
内容部分 ・問題やテーマに沿っている
・主張が明確に示されている
・論旨が整っている
・説得力がある など

小論文の作成時は、表記ルールに合わせて文章を書くことが大切です。NGとされる表現を使っていないか確認しながら書きましょう。原稿用紙の使い方も再確認しておくことがおすすめです。小論文の内容は問題の主旨に合っているか、わかりやすい流れで書けているかなどもチェックしておきましょう。

書く前に構成メモを作る

小論文は、いきなり書き始めるのではなく、全体の設計図となる構成メモを書くことがおすすめです。以下のように、各パートで書くことを簡単にメモしてみましょう。

構成メモの例
【結論】
学生がスマートフォンを持つことには多くのメリットがある。
【反論】
スマートフォンがトラブルの原因になることもある。
【根拠】
スマートフォンの利便性は高く、ちゃんと使いこなしている学生も多い。安全のためにもスマートフォンがあると便利である。
【まとめ】
大人が使用時間などのルールを決めた上で持たせると良い。

練習方法

小論文を書くことに慣れる

小論文が苦手という場合も、繰り返し練習することで上達を目指せます。練習するうちに、自分の得意とする部分も苦手とする部分もわかってくるでしょう。

第三者に採点してもらう

小論文を書いたらそのままにするのではなく、他者に採点してもらうことも大切です。添削してもらった内容を参考にしながら、次の課題へ活かしましょう。第三者から自分の良い部分についても教えてもらうことで、小論文への苦手意識が薄れることも期待できます。

普段からニュースを見る習慣をつけておく

小論文の頻出テーマの一つが社会問題です。なじみのない内容だと、書くことを思いつくまでに時間がかかってしまう可能性があります。解答できる時間は限られているため、スムーズに意見を書けるように日頃から時事ニュースを視聴しておくことがおすすめです。ニュースを見ながら自分なりの意見を考える癖をつけましょう。

まとめ

小論文を書くコツを押さえて練習を繰り返しましょう

小論文の基礎知識や書き方、具体例、練習のポイントなどを解説しました。小論文には複数のタイプがあるため、志望校の出題傾向を把握して対策をすることがおすすめです。今は苦手という場合も、練習を繰り返していくことで上手く書けるようになっていくでしょう。そのためには第三者に添削してもらうことも大事です。

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