2025年から大学入学共通テストが変わります!「情報Ⅰ」の対策方法を解説!
各大学の大学入学共通テスト、新教科の利用状況と対策のポイント
2025年1月に行われる共通テストから出題教科・科目が変更されます。現行の6教科30科目から7教科21科目へと再編され、新たに必須科目として「情報Ⅰ」も加わります。
この「情報Ⅰ」について、果たしていつどんな勉強をすればよいのか?
全国の大学の入試情報を収集・分析し、現場のカウンセラーにその知見とノウハウを提供する任にあたるワオ・コーポレーションの
大学受験部門責任者が、情報Ⅰの対策の仕方を解説します。
この記事のポイント
1.そもそも、「情報Ⅰ」とはどんな教科なのか?
4つの章から構成されており、
1・2章は基本知識、3・4章はプログラミング実践
そもそも、高校の授業で行われている情報Ⅰとはどんな科目なのか?まずは、その概要から解説します。4つの章で構成され、1・2章で基本知識を修得し、3・4章ではプログラミングの実践を通じて理解を深めます。
情報Ⅰの単元
- 1章:情報社会の問題解決
- 2章:コミュニケーションと
情報デザイン
身近なデータと関連づけて知識を学ぶ
- 3章:コンピュータとプログラミング
- 4章:情報通信ネットワークと
データの活用
プログラミングを実践して理解を深める
2.2025年1月の大学入学共通テストは何がどう変わる?
現行の6教科30科目から7教科21科目へ再編。
新たに「情報」が必須受験教科に。
2025年1月実施の共通テストからは、全体の教科・科目編成は以下のように変更されます。
共通テストの出題教科・科目と配点
(2025年1月変更の新旧比較)
(文部科学省「大学入学共通テストの出題教科・科目について」資料より)
教科 | 科目 | 配点 | 試験時間 | 選択方法 |
---|---|---|---|---|
情報 | ①情報Ⅰ | 100点 | 60分 | |
国語 | ①国語 | 200点 | 90分 | |
地理歴史 |
①地理総合、地理探求 ②歴史総合、日本史探求 ③歴史総合、世界史探求 ④地理総合/歴史総合/公共 ※いずれか2科目の内容を選択 ⑤公共、倫理 ⑥公共、政治・経済 |
1科目100点 2科目200点 |
1科目選択60分 2科目選択130分 (うち解答時間120分) |
6科目から 最大2科目を選択 |
公民 | ||||
数学1 | ①数学Ⅰ ②数学Ⅰ、数学A |
100点 | 70分 | 2科目から1科目を選択 |
数学2 | ①数学Ⅱ、数学B、数学C | 100点 | 70分 | |
理科1 | ①物理基礎/化学基礎/ 生物基礎/地学基礎 ※いずれか2科目の内容を選択 |
1科目100点 2科目200点 |
1科目選択60分 2科目選択130分 (うち解答時間120分) |
5科目から 2科目を選択 |
理科2 | ①物理 ②化学 ③生物 ④地学 |
|||
外国語 | ①英語(リーディング、リスニング) | 200点 (各100点) |
リーディング80分 リスニング60分 |
5科目から 1科目を選択 |
①ドイツ語 ②フランス語 ③中国語 ④韓国語 |
200点 | 80分 |
教科 | 科目 | 配点 | 試験時間 | 選択方法 |
---|---|---|---|---|
国語 | ①国語 | 200点 | 80分 | |
地理歴史 | ①世界史A ②世界史B ③日本史A ④日本史B ⑤地理A ⑥地理B |
1科目100点 2科目200点 |
1科目選択60分 2科目選択130分 (うち解答時間120分) |
10科目から 最大2科目を選択 |
公民 | ①現代社会 ②倫理 ③政治・経済 ④倫理、政治・経済 |
|||
数学1 | ①数学Ⅰ ②数学Ⅰ、数学A |
100点 | 70分 | 2科目から1科目を選択 |
数学2 | ①数学Ⅱ ②数学Ⅱ、数学B ③簿記、会計 ④情報関係基礎 |
100点 | 60分 | 4科目から1科目を選択 |
理科1 | ①物理基礎 ②化学基礎 ③生物基礎 ④地学基礎 |
2科目100点 | 2科目選択60分 | 8科目から 下記のいずれかを選択 A*理科1から2科目 B*理科2から1科目 C*理科1から2科目 及び理科2から1科目 D*理科2から2科目 |
理科2 | ①物理 ②化学 ③生物 ④地学 |
1科目100点 2科目200点 |
1科目選択60分 2科目選択130分 (うち解答時間120分) |
|
外国語 | ①英語(リーディング、リスニング) | 200点 (各100点) |
リーディング80分 リスニング60分 |
5科目から 1科目を選択 |
①ドイツ語 ②フランス語 ③中国語 ④韓国語 |
200点 | 80分 |
共通テスト全体では、現行の6教科30科目から7教科21科目に再編。情報Iは必須の受験科目となります。
新たに加えられる情報Ⅰは、試験時間60分で素点100点。4つの大問があり、第1問と第2問では全範囲の知識が問われ、第3問と第4問では3章と4章のプログラミングに関する理解力が問われます。
情報Ⅰの全体構成
第1問・第2問 = 合計50点出題範囲:1章・2章・3章・4章
- IT全般の知識力
- 情報を正確に読み取る力
- 要点をつかんで解答する力
絶対に落とせない!
第3問 = 25点出題範囲:3章
第4問 = 25点出題範囲:4章
- プログラムを読み解く力
- 課題を解決する力
- データを活用・分析する力
対策した人が断然有利
第1問と第2問の出題範囲は1・2・3・4章で知識中心の設問です。第3問の出題範囲は3章、第4問の出題範囲は4章で、それぞれプログラムを読み解く力や課題を解決する力、データを活用・分析する力などが問われます。ただし、現時点では、第3問・第4問ともにプログラミングの実技の出題はない見込みです。
第1問と第2問は知識中心の設問だけに、確実に得点したい問題と言えます。第3問と第4問は論理的な思考力を試されるため、適切なタイミングにきちんと学習対策をした人でないと得点しにくく、差のつきやすい問題となっているようです。
3.大学入学共通テストへの導入状況<国公立大学>
基本的に、国立大学は必須の受験科目。
学部や学ぶ内容に応じて選択になる場合も。
基本的に、国立大学は情報Ⅰを必須の受験科目としています。しかし、大学によっては、全受験生に必須とするのではなく、学部の特性や学ぶ内容に応じて一部の受験生のみに課す選択としている大学もあります。
(国立大学2025年度一般選抜大学入学共通テスト情報Ⅰの利用予定)
公立大学では、もともと6教科8科目を課す大学が限られていたこともあり、「情報Ⅰ」は学部の特性や学ぶ内容に応じて、必須・選択・課さないと判断が分かれているようです。
なお、現時点では、各大学の二次試験で情報Ⅰを必須とする大学はありません。
4.大学入学共通テストへの導入状況<私立大学>
大学入学共通テスト利用の選択科目の一つに。
受験3~4科目のうちの一つで20~40%の配点に。
私立大学では、共通テスト利用の入試で選択科目の一つに加える形になります。
早稲田大学、明治大学、京都産業大学、関西大学などが情報Ⅰの選択科目などへの追加を決定(もしくは検討)しています。
私立大学の場合、受験科目自体が3~4科目と少なく、配点のうちで1科目の占めるウエイトは大きくなるため、配点比率は20~40%にも及びます。情報Ⅰも選択科目のうちの一科目となるなら、情報を得意とする受験生にとっては武器の一つになります。
5.配点のあやを知る①
国立大学の情報Ⅰの配点は、50~100点ぐらいが中心
大学入学共通テストに占める情報Ⅰの配点比率は5~10%程度が最多
現時点では、情報Ⅰを課す国立大学の配点は素点100点のままか、それより低く設定している大学が多いようです。共通テスト全体に占める情報Ⅰの配点比率は5~10%の大学が最多となっています。配点が高いのは、教員養成コースの一部、後期日程などが中心です。導入初年度ということもあり、点数化しない大学もあるようですが、今後は点数化されると思われます。
なお、2025年度入試における各大学の情報Ⅰの配点は、遅くとも2024年7月頃には発表される予定です。
課す | 選抜によって異なる | ||
---|---|---|---|
点数化する | 配点 | 点数化しない | |
旭川医科大学 | 20点 | 北海道大学 | 北海道教育大学 |
帯広畜産大学 | 60点 | 徳島大学 | 小樽商科大学 |
室蘭工業大学 | 50点 | 香川大学 | 北見工業大学 |
弘前大学 | 50~100点 | 東北大学 | |
宮城教育大学 | 50点 | 岩手大学 | |
秋田大学 | 25~100点 | 筑波技術大学 | |
山形大学 | 50~200点 | 埼玉大学 | |
福島大学 | 50~200点 | 東京外国語大学 | |
茨城大学 | 50~100点 | 電気通信大学 | |
筑波大学 | 10~100点 | 東京海洋大学 | |
宇都宮大学 | 70~100点 | 東京芸術大学 | |
群馬大学 | 未定 | お茶の女子大学 | |
千葉大学 | 25点 | 横浜国立大学 | |
東京大学 | 11点 | 信州大学 | |
東京医科歯科大学 | 18~72点 | 富山大学 | |
東京学芸大学 | 100~200点 | 金沢大学 | |
東京工業大学 | 100点 | 愛知教育大学 | |
東京農工大学 | 30~50点 | 三重大学 | |
一橋大学 | 10~50点 | 滋賀大学 | |
新潟大学 | 50~150点 | 奈良女子大学 | |
上越教育大学 | 100点 | 和歌山大学 | |
長岡技術科学大学 | 100点 | 鳥取大学 | |
山梨大学 | 50~100点 | 島根大学 | |
福井大学 | 50~100点 | 広島大学 | |
岐阜大学 | 25~50点 | 山口大学 | |
静岡大学 | 未定 | 鳴門教育大学 | |
浜松医科大学 | 25~50点 | 愛媛大学 | |
名古屋大学 | 35~50点 | 高知大学 | |
豊橋技術科学大学 | 100点 | 九州大学 | |
名古屋工業大学 | 50点 | 佐賀大学 | |
滋賀医科大学 | 50点 | 鹿屋体育大学 | |
京都大学 | 14~50点 | ||
京都教育大学 | 25~100点 | ||
京都工芸繊維大学 | 25点 | ||
大阪大学 | 3~40点 | ||
大阪教育大学 | 50点 | ||
兵庫教育大学 | 50点 | ||
神戸大学 | 5~50点 | ||
奈良教育大学 | 100点 | ||
岡山大学 | 25~50点 | ||
福岡教育大学 | 100点 | ||
九州工業大学 | 20~25点 | ||
長崎大学 | 10~50点 | ||
熊本大学 | 20~100点 | ||
大分大学 | 点25~100点 | ||
宮崎大学 | 50~100点 | ||
鹿児島大学 | 10~30点 | ||
琉球大学 | 25~100点 | ||
計48大学 | 計3大学 | 計31大学 |
※上記は、2024年5月11日時点での入試情報です。入試要綱は変更される場合もありますので、詳しくは大学発表の入試要項でご確認ください。
6.配点比率のあやを知る②
大学入学共通テスト+二次試験の合計得点で合否が決まる!
大学入学共通テスト>二次試験なら情報Ⅰ対策は超重要
話は少しややこしくなりますが、国公立大学は、共通テストと二次試験の合計得点で合否が決まるので、合計得点における配点比率にも配慮が必要となります。
東京大学を例にとると、共通テスト(1000点を110点に圧縮)と二次試験(440点満点)の合計550点満点で入試が行われます。その中で情報Ⅰの実質的な配点は(100/1000×110=11点)となり、550点のうちのわずか2%程度となります。とくに難関大学を中心とした「共通テストより二次試験の配点が高い大学」の場合には、情報Ⅰの実質的な配点ウエイトが低くなる傾向があります。とはいえ、僅差の勝負で合否が決まることがあるので、取りこぼしのないような対策が必要です。
一方、地方の国公立大学では、二次試験よりも共通テストを重視する大学が多くなります。こうした大学では、情報Ⅰの配点ウエイトが見た目以上に高くなる場合があるので、配点比率をしっかり確認したうえで、確実に合格点が取れる受験対策が必要となります。
志望する大学・学部によって、こうした「配点のあや」が生まれるので、志望する大学・学部ごとの情報収集が不可欠。配点ウエイトも考慮しながら、合格点が取れる情報Ⅰの受験対策を考えることが大切です。
7.いつからどう対策すればよいのか?
初年度だけに出題傾向や難易度など不明なことも…
攻略法も未確定で効率的な対策は難しい?
現状、高校での「情報Ⅰ」の授業は、高校1年か2年次の授業に組み込まれているようです。仮に2年次に習ったとしても、少なくとも1年以上の空白期間が生まれることになります。果たして、いつごろからどんな対策を講じるのが最も効率が良いのでしょうか?
入試における配点ウエイトも考慮しながら、効果的な対策をしたいところですが、初年度の試験だけに、出題傾向などわからないことが多いなかで受験対策をすすめていくことになります。基本的に塾での指導は、「いかに効率よく得点を伸ばすか?」にポイントを置き、「ここは押さえておくべき、ここはそれほど重視しなくてもよい」といった指導ノウハウや、出題傾向別の効果的な学習法で対応していくことを優先します。
優先順位を考えれば、200点の配点がある英語や国語や数学、二次試験での配点が高い科目も気になるところですが、情報Ⅰの得点で足をすくわれないように必要に応じた対策をしておいてください。
8.知識問題の対策
予想問題のスマホアプリ
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ただし先述のように、地方の国立大学にはもともと二次試験に比べて共通テスト自体のウエイトが高い大学が多く、なかには情報Ⅰの配点も高く設定する大学はあるはずです。こうした大学を志望する場合は、決してあなどれません。
特に第1問と第2問は、覚えれば確実に得点できる可能性が高いだけに、対策なしで放置しておくと、得点できたはずの問題で思わぬ失点につながる可能性があります。
そこでお勧めする学習法が、すき間時間を使った「くさび型学習」です。情報Ⅰのために多くの学習時間を割く必要はありませんが、一日のうちに必ずできるすき間時間、たとえば電車やバスに乗る時間、ごはんを食べる前や後の15~20分を使って学習する方法です。
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9.大学入学共通テストの対策
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この記事を書いた人
大学受験部門 責任者