【中学生】成績が上がらない理由とは? 勉強法より先に知っておくべき、好転のポイントを解説

「中学1年の2学期に、突然成績が落ちた」。そんな言葉をよく耳にします。そこでのつまずきは、中学のみならず、高校・大学受験にも悪い影響を及ぼしかねません。なぜ、それは起きるのか?どうすれば、その悪循環を良循環に転換できるのか?
塾の現場で数多くの生徒に接し、それぞれにとっての最適な学習方法を指導してきたプロがアドバイスします。

この記事のポイント

  1. 中学1年の2学期に成績が下がりやすい理由
    1. 中学1年の1学期に潜む「成績が良いと勘違いする罠」
    2. 「理解している」程度の学力では、2学期に問題が噴出
    3. 小学校で身についていた学習習慣が崩れるケースも!
  2. 中学3年の成績は中学1年の成績が大きく影響する
  3. 成績を好転させるポイント
    1. 小学校の延長線上で中学校の学習を考えない
    2. 「成績を競う」が前提の中学校。意識を変え、自分の意思を持たせる
    3. 成績が上がる学習計画の立て方を身につける

中学1年の2学期に成績が下がりやすい理由

「中学1年の2学期から突然成績が落ち始めた…」。中学生の本人からもご家族からもそういう声を聞きます。なぜ2学期に突然落ちるのでしょう?
小学校と比べて科目が細分化・専門化したから?
部活なども本格化して学習時間が足らなくなったから?

それらも多少は影響しているかもしれませんが、いずれも本当の理由ではありません。真の理由は、「本当はすでに1学期に学力は落ちていたのに、それに気づかないまま2学期を迎えてしまったから」です。
では、「中学1年の1学期」には、一体何が起きているのでしょう?

中学1年の1学期に潜む「成績が良いと勘違いする罠」

中学1年の1学期には、多くの科目で「浅く狭い範囲の授業」しかしていません。入学後、生徒は学校に馴染むためのさまざまな行事に参加し、部活動も始まり、ゴールデンウィークが終われば小学校ではなかった中間テストを迎えます。終わればすぐに、今度は夏休み前の期末テスト。それぞれの試験範囲は狭く、勉強すれば確実に得点できるため、平均点が90点以上という科目も珍しくありません。それ自体は悪いことではありませんが、問題はここからです。

この定期テストで「80点取れているから成績は良い」と思うのは、勘違いです。平均90点のテストなら100点の人も多いでしょうから、80点は偏差値で言えば40程度ということもあり得ます。

さらに言えば、公立中学の場合、中学受験した生徒たちは抜けています。また、「いきなり落ちこぼれはつくらない」という配慮もあって、意図的に問題レベルも簡単に設計されています。こうして「100点もたくさんいる差がつきにくい簡単なテストで取った80点」は、本来なら危機意識を持たねばならないのに、点数だけで見ると悪くないと勘違いしてしまう。これが、中学1年1学期の「成績が良いと勘違いする罠」です。

「理解している」程度の学力では、2学期に問題が噴出

1学期の試験が簡単になりがちな理由は、もう一つあります。それは、「1学期は、2学期以降の学習に備えて基礎パーツを学んでいるに過ぎない時期」だからです。
典型的なものが、数学です。2学期になれば方程式を学びますが、方程式を解くには1学期で学ぶ「正の数・負の数の概念や四則演算」、あるいは「文字式の立て方や解き方」などが必要です。方程式にはこれらが入りまじり、すでに理解・習熟されているものとして学び始めます。

それぞれを「理解はしている」レベルと、「見た瞬間に手書きで計算できる」レベルの間には、とてつもない差があります。
パーツ単体を理解するのは、実はさほど難しくはありません。試験も時間をかければ比較的正解にたどり着けますから、そこそこの点数も取れる。ところが2学期になると、それはできて当たり前で一段上からスタートせねばならない。1学期の「基礎体力の鍛え方」が足らなければ、2学期になって問題が噴出するのです。

小学校で身についていた学習習慣が崩れるケースも!

1学期の罠は、もう一つあります。それは、1学期のうちに小学校で身につけていた学習習慣が崩れてしまいがちになるのです。

なぜ、崩れるのか?
その理由の一つには、宿題があります。小学校では、担任の先生のもとで日々の宿題の総量は管理され、次の日には提出を求められ、しっかりチェックされます。必然的に、家に帰ればその日のうちに宿題に手をつける時間を作らざるをえません。

ところが、中学は違います。科目ごとに先生が「コレは家でやっておくように…」と復習用に宿題を出し、次回の授業に提出するか、ものによっては提出しなくてもよいものもあります。「その日のうちにやらねばならない…」という意識は低くなりがちで、部活動で疲れて帰れば、つい後回しにする日も増えます。結果として、日々の学習習慣が崩れてしまうのです。

中学3年の成績は中学1年の成績が大きく影響する

ここまでのお話は中1にフォーカスしてきましたが、それには理由があります。
それは、中学校で成績を上げるために、一番大切な時期は、間違いなく中1だからです。
中1で思うように得点が取れないと、中学校での勉強が楽しくなくなり、学習意欲を失いかねません。逆に中1で頑張れば、中2・中3になってもスムーズに学習を進める事ができます。

また、高校受験では、内申点が合否を分ける大事なポイントになります。多くの地域では中1からの成績が内申点に含まれるため、中1から定期テストで得点できることが大切です。そうでない場合でも、中3になっていきなり成績を伸ばすことは難しいでしょう。
これらの事を考えても、中1の成績を軽視せず、日ごろからコツコツと勉強して基礎学力を鍛えておくことが、中学校での成績アップ、その先の高校受験成功のポイントになるのです。

成績を好転させるポイント

では、どうすれば成績があがる良循環を生み出せるのか?勉強法を改めることも大切ですが、それ以前に知っておくべきことを中心に解説します。

小学校の延長線上で中学校の学習を考えない

前述のように、目には見えずにひっそりと進行していた成績の劣化が、2学期なって顕在化すると、本人はもちろん、ご家族からも一斉に不安の声が上がり始めます。

ここで大切なのは、「小学校の延長線上で中学校の学習を考えない」という事。本人、ご家族、いずれも見落としがちなポイントです。

中学校の授業や評価のシステムは、小学校とはまるで異なります。 科目は細分化され、科目ごとに先生が変わり、それぞれに宿題が出る。小学校にはなかった中間テストや期末テストで定期的に学力を測り、順位をつけ、内申では相対的に評価する。公立中学には入試はありませんが、高校に行くには公立高校でも入試があり、中学入学と同時に3年後の目標が設定されます。さらにその向こうの大学受験、もしも国公立大学レベルをめざしたいなら、少なくとも上位30%程度には入っていなければ、上位の高校には進学できません。まずはその違いをしっかりと認識しておくことが大切です。

「成績を競う」が前提の中学校。意識を変え、自分の意思を持たせる

つまり、中学校は小学校と違って「成績を競う」ことが前提なのです。競うには「本人の意思」が必要です。「小学校同様に、学校や先生が助け導いてくれる」という甘えは捨て、自らが能動的に日々の勉強に取り組むという意識に変わることが欠かせません。

以下には、塾のカウンセリングや個別相談で、生徒やご家族からよくお聞きする「成績が上がらないNGワード」を挙げておきます。もしも日常的にこんな言葉を使っていたら、それは黄色信号です。意識を変える努力を心がけてください。

成績が上がらないNGワード

(1)「目標がないから勉強する気が起こらない…」

「将来、〇〇になりたい!そのために○○を勉強したい!だからこの大学や高校に進みたい」。たしかにこうした明確な目標を持っていれば、やる気も出ます。しかし、そんなことを中学時代に思い描ける人は、ごく一部です。極端に言えば、「目標がなくても勉強できる人にならなければいけない」のです。つまりそれは、やがていつか「何かになりたい!と思う日が来た時に、何にでもなれる!という選択肢をつくっておく」ということなのです。

(2)「部活が忙しくて勉強する時間が足りない…」

高校で、進学校ながらも全国大会出場をめざすほどに部活動にも注力している学校なら、この嘆きの一部は理解できます。しかし、中学校で「部活との両立が難しい」ということはほぼありません。
その理由は二つです。一つめの理由は、物理的な学習量です。高校の学習範囲は中学校とは比べようもなく広がり、ましてや大学入試レベルに仕上げるには物理的な学習時間が必要です。しかし、中学校ではそこまでの学習量は求められてはいません。
そして二つ目は、現場で見る限り、「部活動をすると成績が下がる」という相関性は認められません。なぜなら「部活動をしても成績が優秀な生徒」はたくさんいるのですから。

Q.部活と受験勉強は両立できた?

(2024年度 アクシス受験体験記より)

(3)「勉強の仕方がわからない…」

この場合、やれない理由を勉強の仕方がわからないとして、言い訳にしている場合があります。どの勉強法がよいのかは人それぞれ。たとえば年号の暗記の仕方でも、語呂合わせが性に合う人もいれば、年表丸ごと一枚の絵のようにとらえた方が覚えやすい人もいます。勉強の方法は、先生から何回も言われていますし、本にもWebにもたくさん書かれています。自分に合いそうなアイデアに触れるだけでも参考になるはずです。そして何より大切なのは、それを基本にして、必ず「自分にとっての最適を自分で考える」ことです。

成績が上がる学習計画の立て方を身につける

上記のNGワードがなぜNGなのか?それはいずれの言葉も「他責な視点」から語られており、「自らの意思が欠如している」ことです。

では、能動的な良循環を生み出すきっかけは、どうすれば作れるのでしょう?その一つの答えが、学習計画の立て方です。以下の手順を参考にお子さまと一緒に計画を立ててみてください。

成績が上がる学習計画の立て方

【Step1】1カ月先程度の「近く小さな目標」を決める

まずは目標を決めましょう!ただし、この目標は「〇〇高校合格!」といった「遠く大きな目標」ではなく、「期末テストで平均90点を取る」といった1カ月ぐらい先の目の前の「近く小さな目標」です。

【Step2】やらねばならない総量から1日の学習量を逆算する

たとえば「1カ月後の期末テストで平均90点」なら、テストの出題範囲からこなすべき学習総量と必要な学習時間の見立てがたちます。それを日ごとに割り振ると、1日あたりの学習量が明確になります。

【Step3】1週間を6日で考え、週末にゆとりをつくっておく

計画を立てる時は誰しも張り切りますが、計画には必ずズレが生じます。リカバーできないまま計画が崩れると、やる気も失いがち。1週間を6日で考え、週末にゆとりを残しておきましょう。

【Step4】今日のMust doをチェックし、ペースメイク

1日に学習すべき範囲や量を細かく箇条書きにし、日ごとにチェックします。それを一つずつ消していけば、今日は何をしたか、これまでにどれぐらいやったのかが明確になり、自信も生まれます。

【Step5】目標とのズレが生じた場合は、週末にリカバー

予定がズレた時は、週末の予備日でリカバー。計画倒れの一番の弊害は、やる気と自信の喪失。逆に上手にリカバーできればやる気と自信もアップします。予定通りに進んでいるなら、その日は休んでリフレッシュ!

【Step6】集中するためには、塾の自習室を利用

気が緩みがちな時には、環境を変えてみるのも一つの手。ゲームやスマホの誘惑も多い自分の部屋より、図書館や塾の自習室などを使えば、否応なしに勉強に集中できて効率も上がります。

【Step7】クラスや部活の友達と競い合い、刺激し合う

自分ひとりだとサボりがちでも、クラスや部活の友達と互いの進み具合を情報共有・チェックし合えるような関係ができれば、刺激や励みになります。こうして周囲の環境を整えることも大切です。

最後に、この「成績が上がる学習計画の立て方」も、またひとつのアイデアに過ぎません。必ず「自分にとっての最適を自分で考える」ことを忘れないでください。

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この記事を書いた人

(株)ワオ・コーポレーション
個別指導Axis エリアマネージャー
有馬 誠治