「高1の壁」とは?
高校は、同等な学力を持つ生徒が競い合う場
まず、大前提として理解しておいていただきたいのが、高校は受験を通じて生徒が選抜されるため、学力層が学校ごとに分かれ、校内では同等の学力を持つ生徒が互いに競い合う環境だということです。
たとえば公立中学校なら、同一通学区内において、生徒の成績には幅があり、レベルは様々です。ところが高校入学後は、「同レベルの生徒」たちが受験し、合格して集まってきます。となれば必然的に、合格した生徒間で、新たに競い合うことになるのです。
学習環境が変わると、成果の分布も変化する
「2:6:2の法則」という考え方をご存知でしょうか。これは能力の優劣を固定的に示すものではなく、環境や要求水準が高まったとき、成果の現れ方に差が出やすいことを表した、組織運営や人材育成の分野で知られる経験則です。
これを高校生活にあてはめて考えると、中学時代には成績上位層として評価されていた生徒であっても、難関高校へ進学することで周囲の学習量やスピードが一気に高まり、結果として相対的に「平均的な位置」に見えることがあります。さらに、高校入学後、学習方法や生活リズムを切り替えられない場合には、一時的に成績が伸び悩む状況に直面することもあります。
重要なのは、これは学力が下がったわけではなく、求められる基準と環境が変わったことによる位置の変化だという点です。高校では、その環境に合わせた学び方へ早期に適応できるかどうかが、大きな分かれ目になります。
校内順位の下位「2割」に入ると、そこからの挽回は相当大変
下位の「2割」に入ると、優秀であることを誇りとして学習してきたのに、その「自信の土台」が崩れ去ってしまい、大きな精神的ダメージを受けることになります。
実際に、この「2割」に入ってしまうと、そこから抜け出すには相当な覚悟と学習量が必要です。何しろ周りも同レベル、あるいはそれ以上に学力をもった生徒たちなのですから当たり前です。
私がこれまで個別指導Axisの指導現場で見てきたなかに、高校入学後、下位から順位を上げるために、毎日夜12時ごろまで学習する習慣をつけた生徒でも、定期テストでは5人を抜くのが精いっぱい、そんな状況の生徒もいました。
それでもそうした生活を1年間続けられるなら、少しずつでも順位は上がってはいきます。しかし、モチベーションを維持しながらそれだけの努力を長期間継続することは本当に大変です。
「気分よく学習できる環境」をつくる。最初の関門は初めての中間試験
大切なのはスタートでつまずかないことです。そこで、まず注力してほしいのが、入学後5月末ごろに行われる初めての中間試験です。
もちろん初めからいい成績が残せればそれに越したことはありません。しかし、それよりも自分の立ち位置を再確認することが重要です。今後の高校生活において、気分よく学習できる環境を整えることは、とても大切なのです。
「高1の壁」ではなく、「高1・1学期の壁」。勝負はほんの数カ月
ここまでお話すれば、ちまたでよく言われる「高1の壁」と言うのは、実は「高1・1学期の壁」だということがわかっていただけると思います。
1〜3月に受験を終え、合格・入学して初めての中間試験を迎えるまでの数カ月間は、慎重・丁寧に過ごすことを心がけてください。
なかでも油断しがちな、受験・合格から入学までの入学準備期間の学習の進め方については、後で詳しく説明します。
中学と高校の学習の違いは何か?
科目も細分化されて、学習量が圧倒的に増える
「高校1年生の1学期」に潜むリスクをよりリアルに感じていただくために、ここでいったん、中学校と高校の学習は何が違うのかを整理しておきます。
初めに意識しておいた方がよいのは、「高校は、学習量が圧倒的に増える」ということです。
たとえば英語でいえば、新学習指導要領によりますと、習得する単語数は中学校までで約2,500語です。一般に大学入学共通テストで求められる単語数は約5,000語で、難関大学を目指すなら7,000語程度必要と言われます。とすれば、高校3年間では一気に2,500〜4,500語を覚えなければなりません。
数学も中学までは「数学」で一括りでしたが、高1では「数学Ⅰ」「数学A」に分かれます。理系進学を考えるなら、「数学Ⅱ」「数学B」「数学C」を履修後、難度の高い「数学Ⅲ」の履修が必要になります。
さらに、「国語」は「現代文」「古文」「漢文」へと細分化され、より詳しい知識の吸収と記憶、論理的思考力や文章構成力などが求められるようになります。
授業のスピードの違いにも注意。中学の復習型学習から高校の予習型学習へ
もう一つ注意しておかなければならないポイントは、授業のスピードです。前述の通り、必要な学習量は増えますが、時間は中学と同じ3年間ですから授業のスピードは当然上がります。
中学までは、学校や学習塾の授業で先生に新たな知識を解説してもらい、家に帰って自分で復習して定着させる「復習型学習」で対応できました。しかし高校の授業には、授業中にわからないところ一つひとつに付き合っている時間的な余裕はありません。
事前に予習しておいて、「自分がわからないことを明らかにして授業に臨む」という「予習型学習」に切り替えなければ、授業の理解が追いつきません。
中学校までは学習態度も尊重されるが、高校はテストの点数で順位づけされる
また、成績の評価の仕方も変わります。
中学校まではいわゆる「5段階評価」のように、テストの点だけではなく、特に副教科では学習態度などの平常点も尊重されます。しかし高校になるとテストの点数がより重視される傾向があります。
高校の学習の仕方とペースを、できるだけ早めにつかむ
こうした科目の細分化や、それに伴って学習しなければならない量の増加、さらには新たな学習スタイルの習慣化など、いろんな切り替えと対応力が求められるのが、高校1年生の1学期なのです。
志望校に合格してひと安心、部活に友達づくりに、さぁ、高校生活を楽しむぞ!
それ自体は前向きな気持ちでいいことなのですが、学習に関しては「油断」しないことが大切です。できるだけ早いうちに、学習の仕方とペースをつかんでください。
高校受験後、入学までにしておくべきこと
膨大な学習量と速い授業に備える。英語と数学は特に重要。
それでは、5月に行われる高校初の中間試験で上手にスタートダッシュを切るために、3月初旬の受験から4月の入学までの約1カ月の春休み期間に何を意識しておくべきかをご紹介します。
前述の通り、高校に入ると求められる学習量は増え、しかも授業のスピードは格段に速くなります。こうした高校の学習環境を見据えると、受験を終えてから入学までの約1カ月間を「準備期間」としてどう活用するかが、その後の学習の明暗を分けることになります。
特に英語と数学は、これまでに身につけた知識を土台として新しい内容を積み重ねていく科目であり、成績が伸びにくいからこそ基礎の定着が重要になります。比較的時間に余裕のあるこの1カ月間を活用し、暗記すべき事項の定着や、速く正確な計算力の養成など、今後の学習の土台となる「基本的な力」を徹底して鍛えておきましょう。
[関連ページ]【春休みの勉強法】周りと差がつく、やるべきこと3選。春期講習の必要性についても解説!
英語は単語・語彙、数学は基本的な計算力
具体的には英語では、中学で習った単語・語彙、文法などをもう一度復習しておくとよいでしょう。なかでも単語は、中学までで約2,500語を学んでいるはずです。これを見直して、覚えきれていないものを暗記するだけでもそれなりの時間はかかります。
数学では、関数、方程式、因数分解の解法や、その式から正確かつスピーディに解を導き出せる計算力を鍛えておくことが大切です。
「わかる」ではなく、「できる」ようになるまで「貯金をつくっておく」
ここで、一つ注意が必要です。
単語にしても計算にしても、「わかった」レベルで「できた」ことにしないことです。教科書でも問題集でも「解説文を読めばそれなりに『わかる』」ことも多いですが、いまこの1カ月で鍛えておくべきは、英単語ならスペルが書けることと、例文を示すこと。計算なら、速く正確に解答できること。つまり、「解説文は読まなくても自然に『できる』」レベルです。それだけの知識や基礎力の貯金があれば学習を効率的に進めることができ、その後の学習量やスピードのなかでは息切れしにくくなります。
入学までに出される課題はこなしておく
一方で、新入生の中には入学直前のこの1カ月間に気が緩みやすい生徒がいることを、高校も理解しています。そのため、進学校では合格発表後、入学までに事前の課題を提示するケースがほとんどです。
これらの課題は、授業が始まる前に身につけておいて欲しいことなど、高校が求めるミニマムの課題です。入学後には確認テストが行われます。きちんとやっておけば8~9割は得点できるはずなので、課題が提示されたら必ず早期に取り組むようにしましょう。
入学前に配布される教科書に目を通しておく
合否発表後、ほどなく進学者には入学後に使用する教科書や問題集などの販売・配布が行われます。この教科書にも一度目を通しておいてください。この時点では、習っていないことばかりなので、理解できなくても問題ありません。1年間のうちにどんなことを学んでいくのか。1冊のページ数や書かれてある文章のボリューム、難易度など学習内容をシミュレーションしてみるとよいでしょう。
社会や理科は、中学までとは違って科目が細分化されます。ボリュームに圧倒されるかもしれませんが、好きな分野や興味を感じる単元などが見つかれば、新たな知識欲や授業への期待感も湧いてきます。
高1の壁をクリアする学習塾の活用法
「部活などの高校生活に馴染むことが大切…」と思う前に知っておいていただきたいこと
多くの保護者の方の中には、「学習塾に通わせるのは高校受験を終えるまで。高校に入学したら、まずは部活などの高校生活に馴染むことを優先して…」と考えられている方もいます。ご自身の高校生時代を思い返せば、一生の宝ものになる大切な青春時代です、わが子にもそうあって欲しいとお考えになるのは当然です。それは間違ってはいませんし、否定もしません。
ただし、いまの高校の学習事情は、保護者の皆さんが高校生だったころとはまるで変わっているのも事実です。何よりも学ばなければならない量が増え、授業のスピードは速くなり、難度も上がっています。
塾通いを区切るなら、「高校合格まで」よりも「1学期の中間試験まで」
私が思うに、もしも中学時代の塾通いに区切りを設け、通塾を終了するなら、「高校合格まで」よりも「高校1年・1学期の中間試験まで」は受講することをおすすめします。その理由はこれまで述べてきた通り、「高1の壁」は、実は「高1・1学期の中間試験までの壁」だからです。
高校3年間を「スムーズに気持ちよく学習できる環境にする」には、合格後の数カ月はとても大切です。入学すれば、生徒を取り巻く生活は一変します。その中で、部活動と学習の双方を大切にしながら新しい環境に順応できてこそ、安定した高校生活が送れます。
もちろん学習塾に通うには費用がかかりますから、いたずらに通うのを延ばすつもりもありません。しかし、一度落ち込んだ成績や、くじけかけた心は簡単には回復しません。この状態からもう一度通塾するとなれば、その分だけ負担も大きくなります。
「高校合格まで」よりも「1学期中間試験まで」。わずか3カ月ばかりのことで大きなメリットがあると思いますので、そこまでは様子を見てあげてもよいのではないかと考えます。
事態が深刻化しないうちに相談。個別指導塾で「自分仕様の学習補強」を!
1学期の中間試験に限らず、得意だったはずの科目の成績が落ちてきた、クラスの順位も下降気味といった「マイナスの兆し」が見えてきたら、迷わずに学習塾に相談してください。大学受験までを見据えれば、事態が深刻化しないうちなら打てる手立ての選択肢も拡がります。
中学時代の通い慣れた信頼できる学習塾があるなら、まずはそこに相談してみてください。あるいは新たに通う学習塾を探すなら、一人ひとりの苦手や弱点、つまずきにあわせてカリキュラムを考えてくれる、親身になり、相談しやすい担当者が控えている学習塾に相談してみてください。
[関連ページ]塾の選び方のポイントを解説。失敗しないために事前にやっておくべきこととは?
危機感を自分ごとにするためにも、客観的な第三者の眼を!
「いまはまだ大丈夫、そのうち巻き返せるから!頑張ればやれるハズだから!」と、自分ではそう思っている。これが一番危険です。なぜなら、自分に起こっている「マイナスの兆し」を感知・理解できていないからです。
いまの自分の弱点はどこなのか、将来はどんな大学を受験・合格できるのか、その相対的なポジションは? 学習塾は、そうした客観的な目で自分の現状を分析・評価し、最適な対策を考えてくれるはずです。ぜひそんな、信頼できる伴走者やパートナーとなってもらえるような学習塾を選んでください。
[関連ページ]個別指導Axisの校責任者の役割とは?
個別指導Axisは、教育熱のあるアドバイザーがお子さまの現状を客観的に分析・評価し、一人ひとりに合った学習プランを親身にご提案できる学習塾です。ぜひ、受験後はお近くの校舎へお問い合わせください。
\ アクシスは、全国500校超 /
お近くの校舎へお気軽にお越しください。
この記事を書いた人
個別指導Axis
近畿圏ブロック責任者
沖 真佐典 (おき まさのり)
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